かねてより、本山へ参拝・団参の折に、市中ご旧蹟めぐりのプランや解説が欲しいという声をよく聞きます。そこで当研究室では、かつて聖人が歩かれた(とされる)「道」に着目しました。史実と伝承が織りなす豊かな「道」を私たち自身が〈歩く=体感する〉ことで、聖人のご生涯に思いを馳せ、み教えを新しい気持ちでいただきませんか。
近年の”歩き”ブームの要素も取り入れつつ、宗教には欠かせない儀礼の「身体性」や「伝承」を体感することを目的に、新しい「巡拝」のスタイル=「親鸞さまの道」を提案していきます。
2011(平成23)年4月25日、当研究所主催「一緒に歩こう”親鸞さまの道”」ツアー(第3回)を実施しました。今回の「堂僧時代の親鸞聖人編」では、比叡山延暦寺の山内を参拝し、きらら坂から徒歩で下山しました。途中、豪雨に見舞われるアクシデントがありましたが、無事に下山することができました。
今回のコース
最初に訪れたのは、西塔地区にある常行堂(通称「にない堂」)です。ここは現在も常行三昧(90日間、堂内を歩きながら念仏を唱える行)が行われています。若き日の親鸞聖人も、この厳しい行に打ち込まれていたことでしょう。今回は、特別公開中の堂内に入ることができました。暗く狭い堂内の中央に本尊(阿弥陀如来)が安置され、柱と柱の間には行者がつかまるための竹棒が横に渡してありました。参加者の皆さんは、堂内の過酷な環境に驚きながら、聖人のご苦労に思いを馳せていました。
西塔から歩いて東塔地区へ向かい、大講堂に到着しました。こちらには、普段は無動寺谷の大乗院に安置されている親鸞聖人”そば喰い木像”が、750回大遠忌に合わせて御遷座されています(*2011年11月まで)。ここで同行の武山晃隆布教使の法話を聞き、正信偈のお勤めをしました。
昼食後、いよいよ下山となった頃、突然の豪雨に見舞われました。ひとまず東塔から横川地区へ移動し、恵心堂や元三大師堂などを拝観していると、やがて雨は上がり晴天になりました。
参加者全員での徒歩下山を目指しましたが、降雨による道中の事故や怪我が懸念されたことから、希望者に限り、きらら坂を下りることになりました。その他の方々は、バスで岡崎別院と金戒光明寺へ向かいました。幸い、予想より降雨の影響は少なく、皆さん元気にきらら坂を歩き通し、当初の予定時間を大幅に過ぎてしまいましたが、全員無事に本山へ帰ることができました。
参加者の声-当日のアンケートから-
- ・お念仏を唱えながらきらら坂を下りることができ、長年の夢が叶った。(60代女性ほか)
- ・同じ思いを持った人達で集まったので、和やかな雰囲気で良かった(60代・女性)
- ・歩くことでみ教えを伝えられたご苦労を少しでも体感できたように思う(60代男性)
■当日の詳しい様子は、本願寺仏教音楽・儀礼研究所ニューズレター『仏教儀礼』14号(2011年11月刊行予定)にも掲載されます。
■次回開催予定につきましては、当研究所webサイトや本願寺新報・ポスター・チラシ等にてご案内いたします(2011年11月頃開催の予定です)。