かねてより、本山へ参拝・団参の折に、市中ご旧蹟めぐりのプランや解説が欲しいという声をよく聞きます。そこで当研究室では、かつて聖人が歩かれた(とされる)「道」に着目しました。史実と伝承が織りなす豊かな「道」を私たち自身が〈歩く=体感する〉ことで、聖人のご生涯に思いを馳せ、み教えを新しい気持ちでいただきませんか。
近年の”歩き”ブームの要素も取り入れつつ、宗教には欠かせない儀礼の「身体性」や「伝承」を体感することを目的に、新しい「巡拝」のスタイル=「親鸞さまの道」を提案していきます。
2010(平成22)年10月6日、当研究所主催「一緒に歩こう”親鸞さまの道”」ツアーを実施しました。9月8日(第1回)はあいにく台風に見舞われ中止となりましたが、今回は好天に恵まれ、初秋の空気を感じながら参加者の皆さんとご旧蹟を歩きました。
今回のコース
きらら坂は、都から比叡山へ至る山道の中では勾配のゆるやかな方ですが、所々に急坂があります。参加者の皆さんは、岩肌が迫る険しく狭い山道の入り口にたたずんで、百日参籠に往復された聖人のご苦労に思いを馳せていました。また、「親鸞聖人ご旧跡」の石碑が立つ川辺で、布教使の武山晃隆師からこの場にちなんだご法話をいただきました。
最後に、京都のオフィス街にある六角堂を訪れました。聖人が百日参籠に通われていた頃も訪れる人の絶えない賑やかな場所だったようです。高層ビルとお堂が重なる風景も、緑に囲まれたお寺とはまた違った風情があるものです。この後、聞法会館に戻り解散となりました。参加者の皆さんはお疲れの様子もなく、元気にお別れしました。
参加者の声-当日のアンケートから-
- ・聖人の青年期に思いを巡らせ、自力から他力へ転換されるご決意を考えた。(60代・女性)
- ・五木寛之『親鸞』を読んでいたので、感慨もひとしおでした。(70代・女性)
- ・参加者同士でもお話することができ、「お同行」という言葉を実感できた。(60代・女性)
■当日の詳しい様子は本願寺仏教音楽・儀礼研究所ニューズレター『仏教儀礼』13号(2011年1月刊)に掲載されております。
■次回の開催につきましては、当研究所webサイトや本願寺新報・ポスター・チラシ等にてご案内いたします。