- 出版社・取扱者 : 岩波書店(岩波新書)
- 発行年月 : 2006年4月20日
- 本体価格 : 本体780円+税
目 次 |
はじめに 日本宗教史をどうみるか I 仏教の浸透と神々〔古代〕 II 神仏論の展開〔中世〕 III 世俗と宗教〔近世〕 IV 近代化と宗教〔近代〕 主要参考文献 あとがき 索引 |
---|
著者は東京大学大学院教授(仏教学・日本思想史)。日本仏教研究の第一人者であり、最近では近代日本思想研究でも注目されている著者による、大胆な日本宗教通史叙述の試みである。
丸山眞男の「古層」論を手がかりとして、「これまで通常個別的に扱われてきた神仏関係を統合的に見、日本宗教の展開のダイナミズム」(あとがき)を捉えようとする。著者は丸山とは異なり、「古層」を歴史を貫く一貫したものとは認めず、歴史的に形成されたものと考える。その上で、日本の思想史/宗教史を、「古層」の重積・沈殿した古代・中世と、近世・近代における「古層」の発見という図式のもと、日本宗教史を総合的に把握・叙述しようと試みている。そして、宗教とは何かという根源的な問いに対する答えをも模索してゆく。
本書は、著者の言うように、「日本の宗教や思想の伝統をしっかりと踏まえて現代に対応」(あとがき)するために必須の、重要な試みであろう。
評者:爪田 一壽(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2008年4月25日