- 出版社・取扱者 : 河出書房新社
- 発行年月 : 2011年12月30日
- 本体価格 : 本体1,600円+税
目 次 |
親鸞は何を為した人だったのか−親鸞研究の今(松尾 剛次) 論考 親鸞、共振する単独者(釈 徹宗) 詠う説教、笑う親鸞 廣陵兼純師の節談説教(伊東 乾) チベット仏教から見た親鸞・浄土真宗(熊谷 誠慈) キーワードで読みとく親鸞(林 智康) いま、教えに学ぶ 分別が破られた先に−透明な親鸞の知恵(延塚 知道) 対談 親鸞、そのひらかれた可能性−外部からの問いかけ (島薗 進×高山 貞美) 解題 『歎異抄』と現代−「自力無効」の現実を生きる(水島 見一) 生きた聖典『教行信証』(杉岡 孝紀) 珠玉の言葉を誦する「三帖和讃」(玉木 興慈) 親鸞論集成 愚禿親鸞(西田 幾多郎) まことの宗教、まことの信仰(木下 尚江) 禅宗より観たる親鸞(鈴木 大拙) 親鸞の宗教より開展すべき今日の宗教(三井 甲之) 生活と一枚の宗教(倉田 百三) 人間、愚禿の心(三木 清) 懺悔道としての哲学(田邊 元) 親鸞聖人の世界観(暁烏 敏) 回向と明晰(亀井 勝一郎) 親鸞における「時」の問題(西谷 啓治) 略年譜 |
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本書は、書名に掲げているように「浄土真宗の原点を知る」ための一冊であり、親鸞聖人の本質をさまざまな視点から追求している。
例えば、親鸞聖人についての研究の変遷の概観や、浄土真宗の現代的意義を考察した論考、節談説教(経典や親鸞聖人の言葉を平易に表現した詞に節をつけた説教)の紹介、チベットやブータンの仏教に通じた研究者の視点から見た浄土真宗の特徴の指摘や提言など、論じられる内容は多岐にわたる。
また本書から、親鸞聖人の著述やキーワードに基づき、その教えを学ぶことができるのはもちろんであるが、明治以降、宗教学者、哲学者、歴史学者、評論家など実に多彩な顔ぶれによって、親鸞聖人とその教えについて論じられてきたことを知ることができる。
本書は、親鸞聖人750回大遠忌を迎えて刊行されたが、その法要を終えた後も、親鸞聖人とその教えを学ぶ人のための道しるべとなっていると言えよう。
評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2012年03月12日