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仏教シネマ お坊さんが読み説く 映画の中の生老病死
本の紹介
  • 釈 徹宗 (しゃく てっしゅう)
  • 秋田 光彦 (あきた みつひこ)
  • 出版社・取扱者 : サンガ
  • 発行年月 : 2011年11月1日
  • 本体価格 : 本体1,500円+税

まえがき(釈 徹宗)
序章
第一章 生きる
第二章 老いる
第三章 病む
第四章 死ぬ
第五章 葬る
終章
あとがき(秋田 光彦)

本書は、相愛大学教授の釈徹宗氏と、相愛大学客員教授で映画プロデューサーを務めた経験もある秋田光彦氏との対談を収めたものである。ともに仏教者として、古今東西の映画を手掛かりに、「生老病死+葬」について語り合うが、扱う映画は仏教をテーマとしたものに留まらず、キリスト教、イスラム教など他の宗教に関するものや、「表面上に宗教的メッセージはないけれど、非常に豊かな宗教性を感じるもの」(30ページ)まで射程に入れていく。

両氏は、映画の内容を話の出発点にしながらも、地域、時代によって異なる死生観、死者儀礼のあり方などへと話題を広げていく。そうした様々な語りの中で、両氏は「関係性を構築する、すなわち何かと『つながる』こと」(51ページ)の重要性にしばしば触れている。そして、そうした「結縁」が可能な場が「映画館」であり、「お寺」であるという見方を「終章」で示している。


評者:鈴木 健太(教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)


掲載日:2012年02月10日