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親鸞浄土教と師弟像
本の紹介
  • 川添 泰信 (かわそえ たいしん)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2009年5月15日
  • 本体価格 : 本体2,400円+税

はじめに
第一章 師弟論の問題
第二章 祖師の教え
第三章 法然聖人の師弟像
第四章 親鸞聖人の師弟像
第五章 『歎異抄』の師弟像
第六章 和国の教主論
第七章 真宗の師弟像
おわりに

著者は、龍谷大学教授。法然聖人、親鸞聖人の教えや浄土教の教理史に関する研究を専門としている。

本書は、念仏の教えの伝承を「師弟関係」という視点に着目し、論述している。まず親鸞聖人が尊敬した七高僧の教えの概要から始まり、法然聖人や親鸞聖人の祖師像、恵信尼公の親鸞聖人に対する見方、親鸞聖人と門弟の関係、さらに覚如上人、存覚上人、蓮如上人や妙好人に至るまで、それぞれの師への憶いが綴られている。

なかでも特筆すべきは、親鸞聖人の法然聖人に対する見方について、「教えにもとづく理解」と「崇敬にもとづく理解」の2つの立場を提示している点である。「教えにもとづく理解」とは、法然聖人が説いた念仏往生の教えを確認することであり、「崇敬にもとづく理解」とは、親鸞聖人にとって、法然聖人とは念仏の世界に導いてくれた「弥陀の化身」「諸仏」そのものであったことをいう。

本書は、これらについて綿密な資料に基づき、論証されているとともに、人を敬う姿勢について学ぶことのできる一冊である。


評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)


掲載日:2009年9月10日