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2022年度一緒に学ぼう 第1回「正信偈」① 講座の内容

「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。
今年度は、「正信偈」を中心に学びます。講座は「座学」と「実践」の二部に分かれ、前半の「座学」の時間は、総合研究所の研究職員が、「正信偈」に説かれている教えの内容について解説し、後半の「実践」の時間は、おつとめを指導する専門講師が、合掌礼拝などの作法や「正信偈」の唱え方についてやさしくお伝えします。

第1回「正信偈」草譜

日時 2022(令和4)年8月23日(火) 10:00~11:30
会場 Zoom(オンライン開催)
講師 座学 田中真(総合研究所上級研究員)
実践 桃園裕成(勤式指導所主任)
人数 38名

当日の内容

【座学の内容】

 第1回目の座学では、「正信偈」とはどのような聖典なのか、そして冒頭部である「帰命無量寿如来 南無不可思議光」の2句(帰敬序)の内容について学びました。

1.「正信偈」とはどんな聖典?

「正信偈」は、浄土真宗のご開山である親鸞聖人が、その著作『教行信証』の中にお書きになられた「漢文のうた」で、正式には「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」といいます。わずか840文字ですが、浄土真宗の教えが凝縮した教えの要ともいえるお聖教です。
 私たちが日常的に、この「正信偈」をおつとめするようになったのは、本願寺第八代宗主である蓮如上人の頃からだといわれています。蓮如上人は「正信偈」と「和讃」そして念仏を加えて、浄土真宗のおつとめと定めました。ただし、資料が残っておらず当時はどのような節でおつとめされていたのかは分かっておりません。しかし、准如上人(1577-1631)の頃には10種類もの「正信偈」の節があったことが確認できます。その後、明如上人(1850-1903)の頃には節が五種類にあらためられ、1933年には現行の三種類(草譜・行譜・真譜)の節にあらためられました。※葬場勤行や十二礼の節もあり

2.「正信偈」が造られた目的とは?

 親鸞聖人は「正信偈」をお造りになられた理由を「知恩報徳」すなわち「仏さまのご恩を知って、その徳に報いる」ためであると示されます。「正信偈」とは、親鸞聖人ご自身が、阿弥陀仏のみ教えに出遇われ「南無阿弥陀仏」の念仏一つの救いをいただくことができた、そのご恩に報いたいというお気持ちを吐露された偈文(うた)であることを知ることができます。

3.親鸞聖人の信の表明

 ここから「正信偈」の本文に入ります。今回の講座では、
  帰命無量寿如来 南無不可思議光(『日常勤行聖典』6頁)
の、はじめの2句(帰敬序)について学びました。まず「無量寿如来」と「不可思議光」とは、いずれも阿弥陀仏の別名です。「阿弥陀」とはインドの言葉の音写で、古来より「限りない命を持つ者」、「果てしない光を持つ者」という意味があるといわれています。これらを指して、いま「無量寿」「不可思議光」と、その特徴をもって阿弥陀仏を表現されています。
 次に「帰命」「南無」とは、「おまかせする」「おおせにしたがう」と受け取ります。つまり「南無阿弥陀仏」とは、「かならず救う、我にまかせよ」という阿弥陀仏の仰せに対して、「お任せします」と聞き入れること、ということができます。
 以上のことを、座学の時間で学びました。

【実践の内容】

第1回目の実践の時間では、おつとめを行う前の作法、そして草譜の唱え方について「入生死園示応化」までを学びました。

1.作法について

 おつとめを行う前に、まず式章・念珠を身につけ身なりを整えて、心を落ち着かせます。次にお仏壇の蝋燭に火を灯しし(点燭)、香を香炉にお供えします(供香)。この時、線香の数や長さにはこだわりませんが、香炉に入れる際は立てずに横に寝かせます。そして念珠に手を通し、合掌礼拝します。この時、念珠は両手を合わせて親指と他の指との間に通して、親指を上から自然に付くくらいに押さえます。また、礼拝後はすぐに姿勢を戻すのではなく、ゆっくりと戻します。
なお、これらの作法にきましては本願寺派勤式指導所のホームページhttps://gonshiki.hongwanji.or.jp/html/bms3.htmlに詳しい説明がありますのでそちらも併せてご覧ください。

2.草譜の唱え方について

草譜を唱えるにあたって、最初に『日常勤行聖典』に書かれている符号、とくに「独吟」「引」「四句下がり」について学びました。
独吟は「●」と書かれてある部分です。調声の方が一人で唱え、その他の人は「同音」と書かれる部分から唱えます。また、独吟箇所は、「同音」が発音されるまで最後の音を切らずに延ばすよう注意しなければなりません。
「引」とある部分は二拍で唱えます。その際、仮名が2文字以上の漢字は「命(みよう)」なら、「ミョ」を1.5
拍、「ウ」を0.5拍、といった調子で唱えます。
「四句下がり」とは、「正信偈」の4句目ごとに文字の右辺にある線(博
士)を指します。4句目の音が二段階下がることを表しています。このよ
うに、「四句下がり」するのは草譜の特徴の1つです。

3.草譜を唱える上でのワンポイント

次に、個別に草譜を唱える上での注意すべき点について学びました。( )は『日常勤行聖典』のページ数です。

・「超発希有大弘誓」(7頁)
「引」と火急が合わさった用例。「大弘(だいぐ)誓(ぜい)」の「ダイ」は、「ダー」(1.5拍)「イ」(0.5拍) とのびる。

・「超日月光照塵刹」(9頁)
「刹」を「セーツ」とのばすが、最後の「ツ」をきちんと発音する。

・「是人名芬陀利華-弥陀仏本願念仏」(15頁~16頁)
「芬陀(ふんだ)利(り)華(け)」の言葉が分かるように、次の「弥陀仏本願念仏」までつなげて唱える。

・「中夏日域之高僧」(17頁)
「日域(じちいき)」は「引」とあるが、意味をはっきりさせるために1拍ずつ「ジーチーイーキー」と唱える。

 実践の時間では、以上のことを学びました。

 次回の開催日は9月13日(火)です。草譜の続きと行譜について学んでいきます。事前予約制となっておりますが、次回も皆さまのご参加をお待ちしております。