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ヨーガの思想
本の紹介
  • 山下 博司 (やました ひろし)
  • 出版社・取扱者 : 講談社
  • 発行年月 : 2009年2月10日
  • 本体価格 : 本体1,600円+税

はじめに-氾濫するヨーガ
第一章 「ヨーガ」の語源と関連用語
第二章 インダス文明とヨーガ-ヨーガの淵源を求めて
第三章 体系化以前のヨーガ
第四章 ブッダとヨーガ
第五章 『ヨーガスートラ』と古典的ヨーガ(ラージャヨーガ)
第六章 ハタヨーガとクンダリニー
第七章 近代のヨーギンたち-ヨーガと「近代」との出会い
第八章 現代のヨーギンたち-ヨーガのグローバル化の軌跡
第九章 ヨーガの今-「ヨーガの都」シンガポールなどを例に
おわりに
主要参考文献
図版出典
あとがき
索引

「ヨーガ」という言葉は、巷にあふれている。「ヨーガ」という言葉から多くの人々がまずイメージするのは、健康法の一つというぐらいであろう。ヨーガが、いつ、どんな歴史的背景の中で生れ、継承されてきたか、そしてヨーガが仏教とどう関わってきたのか――これは仏教を理解する上で、大変に重要な問題であるのだが――について、一般にあまり知られていないのが現状ではないだろうか。

著者は、釈尊の悟りについて「のちに体系化されるヨーガと同質のプロセスが働いていたことは否定できない(中略)一部の宗教者が専有していたヨーガ的修行形態が、ブッダによって、誰にでもアプローチできる解脱への方法として再構築され再提示された」(97~98ページ)と指摘しており、さらに釈尊以後の仏教とヨーガの関係にも言及する。

本書は、ヨーガの黎明期から現代まで及ぶ歴史を、様々な派に目を配りながら、文献と実践の双方に対する研究成果を踏まえて解説しており、ヨーガについての優れた概説書となっている。


評者:藤丸 智雄(教学伝道研究センター常任研究員)


掲載日:2009年8月10日