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インド・中国・朝鮮・日本 浄土教思想史
本の紹介
  • 梯 信暁 (かけはし のぶあき)
  • 出版社・取扱者 : 法蔵館
  • 発行年月 : 2012年3月21日
  • 本体価格 : 本体2,800円+税

凡例
1 浄土教経典の思想
2 インドの浄土教論書
3 中国における浄土教教理研究の開始
4 隋唐宋代の浄土教
5 新羅時代の浄土教
6 奈良時代の阿弥陀仏信仰
7 平安初・中期の阿弥陀仏信仰
8 叡山浄土教の展開
9 院政期の浄土教
10 法然とその門下
主要人物・典籍一覧
主要人物出身地図
近畿圏主要寺院
参考文献一覧
索引

著者は大阪大谷大学教授および浄土真宗本願寺派中央仏教学院(浄土真宗本願寺派の僧侶養成機関)講師を務め、本書は同学院の教科書にも採用されている。

本書は、インドから中世日本に至る浄土教(特に阿弥陀仏信仰)の展開を、教理史の立場から解説していく。インド撰述の浄土経典や論書については簡潔な概説に留め、中国・朝鮮半島から日本にかけての教理の展開を、主要な学僧の著述を取り上げつつ詳説する。特に奈良期〜平安期における阿弥陀仏信仰の受容、また浄土教の教理的展開の解説は非常に詳しい。また法然聖人・親鸞聖人の思想に見える教理史の継承と革新、術語の説明にも力点が置かれる。法然聖人・親鸞聖人の浄土教理解を軸に教理史を見るには、充分な情報を具えているといってよい。巻末に主要人物・典籍一覧などが付される。


評者:日野 慧運(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2012年09月10日