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いきなりはじめる仏教入門
本の紹介
  • 内田 樹 (うちだ たつる)
  • 釈 徹宗 (しゃく てっしゅう)
  • 出版社・取扱者 : 角川学芸出版(角川ソフィア文庫)
  • 発行年月 : 2012年4月25日
  • 本体価格 : 本体590円+税

インターネット持仏堂開設のお知らせ
その1 はじめに−私の「ご縁」論
その2 仏教における「自由と宿命」
その3 「因果」論−月光仮面・マタイ伝・レヴィナス
その4 仏教の因果
その5 「宿命」論
その6 仏教の基盤をひとまとめ
その7 「死ぬこと」は苦しみか?
その8 仏教の悟り
間狂言1 宗教について
ニッポンの宗教性
その9 「日本人の宗教性」について
間狂言2 六波羅蜜
日本仏教クロニクル
その10 賢者と愚者の宗教性
間狂言3
その11 「善性」と「邪悪」について
あとがき−いかにして私はネット長屋の大家になったか(内田 樹)
文庫版のためのあとがき(内田 樹)

本書は、内田樹氏(神戸女学院大学名誉教授)と釈徹宗氏(如来寺住職、相愛大学教授)との往復書簡をまとめた『インターネット持仏堂1 いきなりはじめる浄土真宗』(本願出版社、2005年)を増補し、文庫化したものである。

内田氏の専門は、フランス現代思想・映画論・武道論と実に多様で、研究対象は洋の東西を問わない。その内田氏が「ご縁」「因果」「宿命」「宗教性」などをテーマに「仏教ではどう考えるのか」という疑問を投げかける。その疑問に対して、「先生」である釈氏が丁寧に答えていくという形で、話が進んでいく。本書はタイトルに「仏教入門」とあるものの、仏教の教義や歴史について順を追って解説するものではない。仏教以外の思想や哲学についての幅広いやりとりも交えた「仏教入門というより宗教入門的な原理的な対話」(あとがき)である。

少し難解な箇所もあるが、両氏の噛み砕いた表現によって、興味深く読み進めることができる。


評者:真名子 晃征(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2012年09月10日