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「ただ念仏」の教え 法然聖人から親鸞聖人へ
本の紹介
  • 前田 壽雄 (まえだ ひさお)
  • 出版社・取扱者 : 探究社
  • 発行年月 : 2018年07月10日
  • 本体価格 : 本体800円+税

はじめに
一、法然聖人と浄土宗
二、親鸞聖人と浄土真宗
三、親鸞聖人における法然聖人との出遇いの意味
四、法然聖人の説法と親鸞聖人の聞法
五、親鸞聖人のご生涯をたずねて
六、親鸞聖人の教えに生きる
あとがき

本書は武蔵野大学日曜講演会と公益財団法人仏教伝道協会「仏教初心者講座」での講演原稿がもとになっている。そのため、法然聖人と親鸞聖人の教えについて、易しい語り口で説明されている。ただ、本書の内容は単なる解説にとどまず、教えを自分の生き方に照らし合せて受け止めるよう示している。

親鸞聖人は法然聖人の説法を受け止めるにあたって、自身の著作でしばしば「親鸞におきては」と述べられている。これについて著者は、親鸞聖人の言葉を読む際には「この〈親鸞におきては〉の部分をみなさんのお名前に置き換えて読んでみてください」(42ページ)と勧めている。著者自身も、これまでの人生経験を教えに照らして「阿弥陀仏の〈われにまかせよ〉というよび声が何よりも頼もしく聞こえてきた」とつづっている。

また、著者は「親鸞聖人の魅力」として、「自身を〈凡夫〉であるとごまかすことなく、自己をみつめられ、しかも結婚をされて、家庭生活を送りながら、念仏の道を歩まれました。つまり、生活がそのまま仏道としての意味をもつことに、親鸞聖人の生き方、念仏者の生き方があるのです。」(82ページ)と述べている。親鸞聖人の教えの魅力は、私たちの在り方がそのまま肯定されることにある。ただしそれは、自分の在り方を見つめ直すことで感じられるようになるものである。本書から教えを知識として知るだけでなく、「念仏者の生き方」を考えるにきっかけとして頂きたいと願うところである。


評者:多田 修(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)


掲載日:2018年9月10日