目 次 |
表紙 ひかりといのち きわみなき 阿弥陀ほとけを 仰がなん 一月 十二のひかり 放ちては あまたの国を 照らします 二月 生きとしいくる ものすべて このみひかりの うちにあり 三月 信心ひとたび おこりなば 煩悩を断たで 涅槃あり 四月 陸路のあゆみ 難けれど 船路の旅の 易きかな 五月 弥陀の誓いに 帰しぬれば 不退のくらい 自然なり 六月 ただよくつねに み名となえ ふかきめぐみに こたえかし 七月 往くも還るも 他力ぞと ただ信心を すすめけり 八月 まどえる身にも 信あらば 生死のままに 涅槃あり 九月 一生悪を 造るとも 弘誓に値いて 救わるる 十月 まどいの眼には 見えねども ほとけはつねに 照らします 十一月 さとりの国に うまるるは ただ信心に きわまりぬ 十二月 世のもろびとよ みなともに このみさとしを 信ずべし |
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浄土真宗の教団は、歴史的事情から現在では複数の教団に分かれている。しかし、いずれの教団も親鸞聖人を宗祖と仰ぐことから、10教団によって、教団の枠を越えた組織が結成されている。それが真宗教団連合である。
真宗教団連合では毎年、「法語カレンダー」を作っている。これは、教えを簡潔に示した言葉を月ごとに載せたカレンダーである。2016(平成28)年版は、「しんじんのうた」(和訳正信偈。親鸞聖人がおつくりになった「正信念仏偈」は漢文で書かれているので、現代の人にわかりやすいよう、真宗教団連合によって和語に訳して1973年に制定された)から選ばれた法語が取り上げられている。
本書は、本年(2016年)の法語カレンダーをもとにした、短編の法話集である。時事問題や身近なトピックがたびたび取り上げられ、肩肘張らずに読み進められる。また、「ウルトラマン」「自死率の低い町」といった興味深い話題や、独特で鋭い視点も、本書の魅力のひとつである。
評者:網代 豊和(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)
掲載日:2016年1月12日