- 出版社・取扱者 : 幻冬舎(幻冬舎新書)
- 発行年月 : 2015年3月30日
- 本体価格 : 本体800円+税
目 次 |
はじめに 第1章 仏教と縁の深い植物の謎 第2章 仏教と植物の意外に美味しい関係 第3章 心に染みる仏教と植物の話 第4章 仏教が理想とする植物の生き方 おわりに |
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仏典の中には様々な植物が登場する。お釈迦さまが生まれたときにはアショーカ(無憂樹)の花が咲き、悟りを開いたのは菩提樹の木の下、そして沙羅の木の下で涅槃に入られた。しかし、仏教と植物の関係は、仏典の中だけにとどまらない。
本書は植物学者である稲垣栄洋氏が、私たちにとって馴染み深い植物と仏教の関係について、様々なエピソードを紹介していく。インドで生まれた仏教が中国や朝鮮半島を経由して日本に伝えられたように、現在私たちがよく目にする植物の多くが海を越えて伝来し、各地に根付いていった。
草むらや道端でよく目にするクローバーに似たハート型の葉っぱが特徴的なカタバミ。生命力が強く、放っておくとすぐに増えてしまうので厄介な雑草と感じている人も多いのではないだろうか。ところが、カタバミは単なる厄介ものではない。かつて、カタバミは仏具を磨くために使用されていた。この他にも、マンジュシャゲがお墓の近くに植えられる理由や、精進料理に用いられる野菜の由来など、暮らしの中で仏教と植物がどのように関わってきたのかが紹介されている。仏教と植物の意外な関係をうかがい知ることのできる一冊である。
評者:長谷山 説子(浄土真宗本願寺派総合研究所臨時勤務員)
掲載日:2015年9月10日