- 出版社・取扱者 : さくら舎
- 発行年月 : 2014年11月13日
- 本体価格 : 本体1,400円+税
目 次 |
序 立ち止まる 一 目覚める *「発菩提心」~まずは心をよせることから 二 移りゆく *「諸行無常」~すべてのものは移りゆく 三 受け入れる *「如実知見」~あるがままを受け止める 四 支え合う *「慈悲」~ちいさなやさしさを積み重ねて 五 育まれる *「報恩感謝」~「有ること」はとても「難しい」 六 手放す *「放下著(ほうげじゃく)」~捨てられないと気づくことで放たれる 七 めぐりあう *「倶会一処(くえいっしょ)」~わたしの前に開かれる世界 終 おまかせする |
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著者は「歌う尼さん」の愛称で親しまれている、やなせななさん。シンガーソングライター、且つお寺の住職という珍しい二足のわらじを履くことから、その名は全国に広まる。コンサート&トーク活動は6年余でおよそ500ヵ所にまでのぼるという。本書はそんな著者が、唄いに行った先々での様々な出会いや別れを、女性ならではの柔らかな文章で綴っている。そして自らの子宮体がんを煩った経験などをふまえ、思い通りにならない、この無常の世界を生きる私たちに、「限りある命の輝き」を味あわせてくれる。
また話の随所に、自身が作曲した歌詞が織り込まれており、その歌詞を作った際の著者の心情に引き込まれていく。歌詞を読んでいるといつのまにか、やなせさんのやさしい歌声が心の中で響いてくるような、温かい気持ちになってくる。
「あなたの心の中にある、決して消えることのないさみしさが、ひととき、ほんの少しだけでも、やわらぎますように。」(11ページ)。そんな著者の願いが込められた一冊である。
ふと、自分ではどうすることもできない孤独を感じた時、是非手に取っていただきたい本である。きっと、あるがままの私を包み込んでくれる大きなはたらきに気づけるのではないだろうか。
評者:岩田 香(浄土真宗本願寺派総合研究所研究生)
掲載日:2015年2月10日