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65歳からの仏教 おとなのための浄土真宗入門
本の紹介
  • 本願寺出版社 (ほんがんじしゅっぱんしゃ)
  • 出版社・取扱者 : 本願寺出版社
  • 発行年月 : 2014年10月1日
  • 本体価格 : 本体1,200円+税

はじめに-六十五歳は本当の自分を見つめる適齢期(友久 久雄)
第1章 私が出会った仏教
第2章 釈尊に学ぶ これまでの人生を振り返る(藤井 邦麿)
第3章 親鸞聖人に学ぶ 真実の生き方に気付く(天岸 浄圓)
第4章 孫からの質問に答えよう(小池 秀章)
第5章 悩み相談室(三上 章道)
おわりに
親鸞聖人略年表
浄土真宗の教章(私の歩む道)
これから仏教を学びたい人へ 浄土真宗本願寺派中央仏教学院通信教育のご案内
参考文献
著者紹介

本書は、章毎に著者が異なる合作本である。題名からも判るように、本書が対象とする読者年齢層は、65歳以上の方々である。人生経験を深めながらも、体力的な衰えも感じる年となり、自然と仏教に興味がでてくる人も多いはず。そのような方々に、仏教の学びを踏み出せるよう整えられた入門書となっている。

本書の大きな特徴は、全体の3分の1を占める第1章にある。60代後半の5名の方々が、仏教(浄土真宗)と出会った人生について振り返り紹介する。仏教に支えられた生き方には、「素直」・「ありのままを受け入れる」・「感謝」・「ありがとう」など心落ち着く生き方が拓かれていた。仏教を生きる方の生の声が収集されている本書は、専門用語の解説や教義の意味を説明するだけの本とは一線を画しており、心に響き易い。

第2章では釈尊の、第3章では親鸞聖人の生涯をそれぞれ振り返りながら、仏教・浄土真宗の基本的な教えとそこから学べることを語る。これらを通して、第1章で紹介されたような、生き方の土台となる教えを確認できるようになっている。

また、第4章以降は体裁が変わり、仏事に関する身近な問いや悩みなどを想定し、Q&Aなどの形で説明していく。第4章には、各家庭において仏事やその心を相続して欲しいという本書の願いを感じる。第5章では、仏事に関する現実的な疑問について回答しているので、参考にしてほしい。


評者:網代 豊和(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2015年1月13日