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仏教・真宗と直葬-葬送の歴史と今後-
本の紹介
  • 北塔 光昇 (きたづか みつのり)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2013年9月30日
  • 本体価格 : 本体1,000円+税

はじめに
序章  直葬と葬式仏教
第一章 インド仏教における葬送儀礼と追善思想の興起
第二章 中国仏教における追善思想の発展と葬送儀礼
第三章 日本仏教における追善思想の受容と展開
第四章 今後の葬送儀礼と仏教伝道の方向性

近年、私たちの葬送儀礼は多種多様となった。本書は葬儀とりわけ「直葬」と呼ばれる葬儀の一形態について検証し、更には仏教における葬送儀礼のインド以来の歴史、及び今後の浄土真宗の葬儀に対する方向性を模索していく。「直葬」が増加傾向にある背景として、経済的な理由もあげられるなか、本書は根本的な要因として「日本人の道徳観や死後に対する宗教観の変容、日常における宗教意識の希薄化」(4ページ)があると指摘し、「既成の宗教に制約されない死後観」(5ページ)が私たちのなかに作り上げられたことが背景にあると述べる。また、このような状況に陥った一因として「葬儀を布教伝道の良き機会」(5ページ)と捉えることができなかった僧侶側にも問題があったと指摘する。そこで本書は、仏教の葬送について、釈尊入滅から現代まで概観し、そこから見いだされる葬送儀礼の意味と布教伝道的意義をあきらかにし、葬送儀礼の本来の意味合いを指し示す。

本書は、浄土真宗本願寺派において、布教講会と称される布教使を対象とした講習会のテキストとして執筆されたものである。


評者:大江 宏玄(浄土真宗本願寺派総合研究所研究協力者)


掲載日:2014年10月10日