- 出版社・取扱者 : 法蔵館
- 発行年月 : 2013年11月20日
- 本体価格 : 本体2,200円+税
目 次 |
はじめに-新しい恵信尼像- 第一章 京都の貴族・恵信尼 第二章 越後に下った恵信尼 第三章 関東の人々と暮らす恵信尼 第四章 恵信尼の越後移住 第五章 越後の農村に住む恵信尼 おわりに あとがき |
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著者は、筑波大学名誉教授、真宗文化センター所長である今井雅晴氏。専門は日本中世史である。特に、親鸞聖人の研究に関する著作が多く、歴史学の観点から、史料を吟味し、新たな親鸞像を提言している。また、親鸞聖人のみならず、その家族、門弟、門徒など、彼を取り巻く人々についても論及しており、これらに関する書籍も執筆している。本書はその一つである。
従来、真宗史では、恵信尼公という女性は、夫である親鸞聖人によく仕えた妻である、との理解が通例となっている。しかし、氏は「実際の恵信尼は、もっと主体的な生き方をしていたのではないか」と主張する。そして、その論拠を様々な新史料を駆使して示していく。
「後世の論理から『親鸞の妻はこうあるべきだ』とするのはやめたいものです」との一文は真宗学を学ぶ者は肝に銘じておかなければならないだろう。
ほぼ1、2ページごとに小見出しをたてるなど、読者が読み進めやすいよう工夫がされている。一読すれば、恵信尼公がどのような女性であったか、およそ把握できるだろう。恵信尼公に関する書ではあるが、内容の性格上、親鸞聖人についての記述も多く取り上げられている。教学はさておき、歴史上の親鸞聖人が知りたいという方にもお薦めしたい。
評者:上杉 泰成(浄土真宗本願寺派総合研究所研究協力者)
掲載日:2014年2月10日