- 出版社・取扱者 : かんき出版
- 発行年月 : 2013年8月5日
- 本体価格 : 本体1,300円+税
目 次 |
まえがき 1 一生懸命生きれば今の大切さに気づく 2 この瞬間、心は元気に生きている 3 息子に奇跡の手紙が届いた! 4 これからをいかに生きるかで立ち直れる 5 そのときいちばんに考えたのは謝ることだった 6 運命を受け入れた上で自分らしく生きる 7 関係ないと思うものが実はつながっている 8 モット、シアワセにするギムがある 9 その日まで、やる気になれば何でもできる 10 親子の交換ノートに永遠の命が宿る 11 亡き息子から約束のプレゼント 12 壁の向こうに新しい世界が広がっている 13 もう一つの永遠の命が生き続ける 14 天国のあなたへ-この世の妻より 15 ありのままの姿ですごさせてもらいたい 16 マイナスの裏には必ずプラスがある 17 自分の生き方が傲慢であることに気づいた 18 見捨てられることはない。必ず救われる 19 妻はいつでもどこにでもいてくれる 20 〝今〟の連続が生きていることの証 21 亡くなった人は仏となって導いてくれる 22 何があっても絶対永遠に変わらないもの 23 人生の最後に人間的な大きな成長がある 24 踏みにじられ振り返ってもらえなくても大丈夫 25 今際(いまわ)の際(きわ)にいったい何を考えるのか 26 人の真価は死を予期したときに凝縮して現れる 27 執着しない心が苦しみを取り除く 28 限られた命だからどう生きていくか 29 苦は〝開けた心〟で乗り越えていく 30 コップに水がこれだけ入っている 31 どんな死も意味を与えてくれる 32 苦は放置・回避せずに越えていくもの |
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わが国では病院や施設で死を迎えることがほとんどとなった。死に触れる機会が少なくなり、死に向かう状況を受けとめることが難しくなったなかで、人間は死を宣告されたらどのような心境になるのだろうか。そのような患者さんの心に寄り添うために活動している組織が、築地本願寺にある。「東京ビハーラ」である。
「ビハーラ」とは、古代インドで使われていたサンスクリット語で「安住」「安らか」「くつろぐ」といった意味の言葉である。古来、僧侶の住居を指す語として用いられてきたが、それを末期の患者のケアをする活動に当てはめた。ビハーラ活動は、誰もが避けられない「生・老・病・死」の苦しみや悲しみを抱えた人々を支援するケア活動であり、僧侶、医師・看護師、福祉士などがチームを組み、人々の苦しみや悲しみを共有することをめざして、深い安らぎを得ていくことをその願いとしている。
本書は、このビハーラ活動を展開している僧侶らの生きた言葉である。一つひとつの言葉に綴られた文章を読み進めていくと、死をみつめる意味や今を生きる大切さ、あらゆるいのちがはかなくも、かけがえのないことが伝わってくる。そして何があっても見捨てられない、変わらないものが確かにあるということを知らせてくれるとともに、苦しみ悩む心に安らぎを与えてくれる一冊である。
評者:前田 壽雄(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)
掲載日:2014年2月10日