- 出版社・取扱者 : 青春出版社(青春新書インテリジェンス)
- 発行年月 : 2013年3月15日
- 本体価格 : 本体1,181円+税
目 次 |
はじめに 序章 地獄と極楽 第一章 地獄の世界 第二章 地獄の信仰 第三章 極楽の世界 第四章 日本人の地獄と極楽 |
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著者は東海大学名誉教授であり日本仏教史を専門とする。特に平安仏教に関する書籍を多数出版している。
本書では地獄と極楽を中心に日本人の死後の世界観が、歴史上如何に深化されてきたのかを図説を交えながらわかり易く解説されている。そもそも地獄の原語はサンスクリット語で「ナラカ」(音写は奈落)または「ニラヤ」であり「地下の牢獄」の意である。またその概念や種類は経典によって区々あるようだ。地獄が日本で特に知られるようになった背景には、平安時代の高僧・源信僧都の著した『往生要集』による地獄の具体的説述があった。従って本書の地獄は『往生要集』で説かれた内容を主に、八大地獄の相や苦しむ期間などが詳説される。また地獄の閻魔王や奪衣婆、獄卒などについても触れられており、本書の魅力の一つといってもよい。
一方で地獄の対極にある世界として極楽がある。極楽は西方極楽浄土のことであり、阿弥陀仏の浄土のことである。浄土は仏の数だけあるが、日本では阿弥陀仏の極楽浄土が最も信仰を集めている。その背景にも『往生要集』が多分な影響を与えている。本書では極楽の様相、また平安時代以降に盛んとなった極楽に往くため行われた臨終行儀や、極楽に往生した人の伝説を集めた往生伝など、人々がいかに極楽を願いながら死を迎えたのかが伺い知れる。
日本文化の形成に大きく影響を及ぼした地獄と極楽。まさに日本人の死生観の背景が垣間見える一冊と言えるであろう。仏教初心者でも読める内容となっている。