- 出版社・取扱者 : 自照社出版
- 発行年月 : 2012年12月25日
- 本体価格 : 本体1,500円+税
目 次 |
はじめに-親鸞と現代- 1、京都・越後から下野へ 2、親鸞、下野をめぐる 3、宇都宮頼綱とその一族 4、親鸞と高田 5、高田門徒の発展 6、二十四輩の門弟たち 7、親鸞と和讃など 8、親鸞没後の浄土真宗 おわりに-下野を歩む親鸞と恵信尼- あとがき |
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著者は筑波大学名誉教授であり、親鸞聖人の生涯を歴史学の視点より研究している。特に関東における親鸞研究については第一人者と言えるだろう。
これまでの親鸞研究では、関東時代の足跡はあまり明らかにされてこなかった。理由は資料の不足などにより謎が多かった為である。
そこで著者は、確定的な資料の不足を補う為、各地に伝わる伝説や言い伝えなどを熟考し、さらに当時の社会常識や人間関係に照らし合わせながら関東時代の親鸞聖人の足跡を解き明かしていく。著者の出版物には『茨城と親鸞』(茨城新聞社)などもある。
さて、本書は下野国(栃木県)で活躍した親鸞聖人について纏められた一冊である。関東時代の親鸞聖人といえば、常陸国(茨城県)の印象が強いが、親鸞聖人の教えが広まった場所という点では下野国であろう。特に高田門徒(親鸞聖人の門弟で、主に高田<茨城県真岡市>で活動した、真仏を中心とした門徒集団)が活躍していた地域なのである。その為、下野国の各地には、親鸞聖人と縁がある場所が点在する。著者は各所を歩き周り、本書で親鸞聖人との関わりを簡潔に解説している。また、一方で当時の下野国の権力者と親鸞聖人との関係についても解説がなされている。中でも親鸞聖人が越後から関東に来た理由として、下野国の豪族、宇都宮頼綱との関係が論じられている箇所は興味深い。本書は『下野新聞』で1年半連載した「下野と親鸞」を纏めたものであり、各名所が見開き読み切りサイズで取り上げられている。親鸞聖人のご旧跡を巡る下野の旅のお伴に持参したい一冊である。