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ブッダのことばから浄土真宗へ
本の紹介
  • 荒牧 典俊 (あらまき のりとし)
  • 京都光華女子大学真宗文化研究所 (きょうとこうかじょしだいがくしんしゅうぶんかけんきゅうじょ)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2008年3月31日
  • 本体価格 : 本体2,000円+税

まえがき(一郷 正道)
序章  インド大乗佛教から浄土真宗へ
第1章 ブッダのことば
第2章 大乗経典運動の起源
第3章 浄土思想の展開
あとがき(荒牧 典俊)

著者は京都大学名誉教授、京都光華女子大学教授・同真宗文化研究所々長(仏教学)。本書は、著者が「インドから中国を経て日本に至る佛教思想史を構築したい」(あとがき)との思いから続けてきた、半世紀に亘る仏教思想研究のエッセンスが凝縮された書である。4本の講演録、論文1編、京都光華女子大学における講義草稿の抄録から成る本書を通して、著者の描く仏教思想史が提示されるが、そこにはゴータマ・ブッダ(釈尊)の教えと親鸞聖人の教えとの同異を明らかにするという、仏教学・真宗学共通の重要な、かつ難解な課題への解答も含まれている。また、釈尊や親鸞聖人の宗教体験を学ぶことに、現代社会を不安に陥れている環境問題、精神的ニヒリズムという大きな課題を克服するヒントがあると確信をもって語る著者に、単なる学解に終わらない真摯な仏教者の姿を見出すことが出来、読む者に深い感銘を与える。


評者:爪田 一壽(教学伝道研究センター研究員)


掲載日:2008年8月11日