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仏像が来た道
本の紹介
  • 杉山 二郎 (すぎやま じろう)
  • 出版社・取扱者 : 青土社
  • 発行年月 : 2010年7月10日
  • 本体価格 : 本体2,200円+税

はじめに
第1章 釈迦牟尼仏の一代記を巡って その1
第2章 釈迦牟尼仏の一代記を巡って その2
第3章 釈迦入滅と部派仏教の成立と展開
第4章 古代インドの仏教徒たち
第5章 サンチー仏塔訪問記
第6章 仏像の出現と展開 その1
第7章 仏像の出現と展開 その2−特に頭光背を巡って−
第8章 説話主人公から単独像へ
第9章 施無畏印の西アジア起源とガンダーラ美術との関係について
第10章 舎利崇拝と塔婆造立と仏伝図と
第11章 大乗仏教の成立と貴霜王朝
第12章 カニシカ大王の崇仏活動
第13章 マトゥラー美術の誕生と展開
第14章 インド人の美意識の完成−グプタ朝美術をめぐって−
第15章 石窟寺院の成立と伝播
第16章 中央アジアの造寺造仏事情
第17章 中国仏教美術の成立と展開
むすび
あとがき
仏像及び仏教美術関連地図

著者は、東京国立博物館東洋考古室長、仏教大学教授、国際仏教学大学院大学教授を歴任した杉山二郎氏。本書は、季刊雑誌『柴又』(日蓮宗題経寺刊)の連載「仏教美術入門-仏像理解のために」の前半をまとめたものである。

本書は、日本における仏教文化を理解する前提として、仏教がインドからシルクロードを通って流入したという歴史的地理学的視点が必要であるとの考えから、まずインドにおける仏教文化、仏像彫刻の展開が主に論じられる。しかし、インドの仏像の形成にはインド以西(ギリシア、西アジア)の造形文化の影響は無視できない。そのため本書では、これらの地域の造形文化と仏像の造形的特徴との関係に多くのページを割き、西アジアやインドにおける美術史、仏教思想史に関する研究を広く紹介しながら、多方面から考察を加えている。

なお、本書は大半がインドについての話であり、他の地域(日本など)についての言及は少ないが、「あとがき」によれば著者は日本の仏像についての続編の執筆に意欲を示している。


評者:鈴木 健太(教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)


掲載日:2010年11月10日