HOME > 読む! > 仏教書レビュー > 本の紹介

仏教入門 親鸞の「迷い」
本の紹介
  • 梅原 猛 (うめはら たけし)
  • 釈 徹宗 (しゃく てっしゅう)
  • 出版社・取扱者 : 新潮社
  • 発行年月 : 2011年9月25日
  • 本体価格 : 本体1,600円+税

親鸞の言葉
1 親鸞の生涯 苦悩の中で出会った「他力」の教え
2 親鸞の思想 「悪」を自覚した愚者(釈 徹宗)
3 親鸞をめぐる謎(梅原 猛)
4 親鸞への旅 京都・越後・常陸、聖人の名残を巡る
コラム 1 親鸞没後
2 中興の祖・蓮如
3 親鸞ブックガイド
親鸞をめぐる人物相関図
親鸞ゆかりの地マップ
年表

本書は、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の750回大遠忌を機縁として出版された、親鸞聖人の生涯とその教えを、豊富な写真を用いながら解説した入門書である。

冒頭で釈徹宗・相愛大学教授が「親鸞の言葉」として5つの文を取り上げ、解説している。聖人ゆかりの地の写真を背景に使用していることもあり、初めから聖人の世界に引き込まれてしまう。そして「親鸞の生涯」の項では、聖人の人生の転機となる年齢を見出しに掲げ、その年にまつわる『親鸞聖人伝絵』(聖人の生涯の絵解き)の場面や、舞台となった地などの写真とともに、その一生をたどる。また「親鸞の思想」では、その要点をQ&A形式で説明しており、その中における「どん底のときに、光をはなつ宗教者」(88ページ)という評価は多くの人々の注目を引くだろう。さらに梅原猛氏が「親鸞をめぐる謎」として、その生涯や思想について興味深い論を展開している。

なお本書と同じ「とんぼの本」シリーズとして『法然の「ゆるし」』も刊行されている。あわせて読むことをお勧めしたい。


評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)


掲載日:2011年12月12日