- 出版社・取扱者 : 法蔵館
- 発行年月 : 2010年3月21日
- 本体価格 : 本体3,500円+税
目 次 |
序論 一 仏教とカウンセリングの意義 二 仏教の<こころ>とカウンセリング・マインド 三 仏教者によるカウンセリング 四 心理療法としての仏教の役割と現状 執筆者紹介 |
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本書は、龍谷大学仏教文化研究所付属「仏教とカウンセリング研究センター」の研究成果をまとめた一冊である。仏教もカウンセリングも共に「悩める人々への対応を考え」るものであるとして、カウンセリングの手法やそれを踏まえた教化のあり方を論じている(ただし、共通点を言うだけではない。カウンセリングは個人的な悩みを解決するものであるのに対し、仏教は人間の根源的な悩みを解決するものであるという相違点も指摘する)。
そして、その理論を説明するだけでなく、実践例とその解説も掲載する。その一つとして、家族を亡くした遺族に対する僧侶の応対の実例を取り上げている。その中の解説では、相談を受けた僧侶は法を説いたり解決法を指示するよりも、遺族の話を聞き、受け入れ、気持ちに寄り添うことがまず大事である旨を記している。
僧侶がカウンセリングについて知ることは、寺院の活動にも有益と言える。本書は、仏教の公益性を考える一助となるであろう。
評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2010年7月12日