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二十九歳の親鸞聖人
本の紹介
  • 今井 雅晴 (いまい まさはる)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2010年7月31日
  • 本体価格 : 本体800円+税

発刊のことば
「29歳の親鸞聖人」関係略図
はじめに
比叡山で修行
六角堂参籠
法然聖人への入門
恵信尼さまとの出会い
おわりに
あとがき

著者は筑波大学名誉教授(日本中世史、仏教史)。親鸞聖人に関する著作を数多く著している。本書は、その著者による講演録のシリーズ「歴史を知り、親鸞を知る」の3冊目として刊行されたもの。浄土真宗本願寺派全国坊守・寺族女性連絡会の第12回大会における記念講演の内容がもとになっているということもあり、口語体でまとめられた文章は非常に読み易く、また関係地図と写真が掲載され、聖人の足跡が一目で判るよう工夫されている。

親鸞聖人は29歳で比叡山での修行を止め、法然聖人に入門した。そのため、親鸞聖人の生涯の中でも、29歳は一大転機となった時期にあたる(著者は、親鸞聖人と妻・恵信尼公の出会いもこの年であったとの説をとる)。しかし、当時の親鸞聖人については史料に乏しいこともあり、未だ定説を見ない点が少なくない。そのような中で、本書は近年の研究成果を踏まえながら、29歳の親鸞聖人の足跡を再考した、興味深い一冊である。


評者:網代 豊和(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2010年11月10日