- 出版社・取扱者 : 春秋社
- 発行年月 : 2007年7月30日
- 本体価格 : 本体1,600円+税
目 次 |
第1章 輪廻を考えずに仏教が語れるのか 第2章 輪廻とは何か 第3章 仏教で人は救われるか エピローグ 浄土とは何か 対談を終えて |
---|
本書は東京大学名誉教授・高崎直道氏と宗教評論家・ひろさちや氏による対談を収めたものである。両者は、インド仏教の背景に輪廻思想があるにも関わらず、日本では輪廻を軽視して仏教が語られているという問題を指摘し、輪廻思想を充分考慮に入れ、その上で様々な仏教教義や仏教儀礼に関して考察を深めていこうとする。主にひろ氏が斬新な解釈を示し、それに対して、高崎氏が仏教文献学者としての立場から、あるいは曹洞宗僧侶としての立場から、同意、補足、反論するという形で議論が進んでいく。
例えば、ひろ氏は、日本の仏教諸宗派でなされる葬儀は輪廻思想を踏まえておらず仏教的ではないと主張する。それに対して高崎氏は「その型はインド仏教とは違ったものかもしれないけれども、そこに文化としての仏教の働きというものを認めなければならない。そういう点で、日本仏教が仏教でないという意見に素直に同調することができません」(9ページ)と反論する。
評者:鈴木 健太(教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)
掲載日:2008年4月25日