- 出版社・取扱者 : 筑摩書房
- 発行年月 : 2011年7月25日
- 本体価格 : 本体1,400円+税
目 次 |
はじめに−我々は当たり前の事実に気づかない 第一章 宗教とは何か 第二章 仏教とはどういう宗教か 第三章 釈迦は何を覚り、何を説いたか 第四章 仏教の発展と変容 第五章 仏教と現代 あとがき 主要参考文献 |
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「仏教入門」と名のる書籍は数多い。その中で本書が異色なのは、仏教を信仰しているわけではないものの期待を持つ知識人が、独学で構築した仏教論だという点にある。著者は社会論、マンガ批評などの分野で活躍する評論家で、キリスト教や儒教などにも造詣が深い。そんな著者が、4年を費やして仏教書や邦訳仏典を読解し、自身の広汎な知識と「つぎはぎして」独自の仏教論を著述した。釈尊の教説から現代の日本仏教までを論じるが、そのために取り上げた文献は仏教のものだけでなく多岐にわたり、その理解も(多少の誤読や説明不足、以前の学説にもとづく記述が散見されるが)概ね正しい。
著者が「専門家ではない分、恐いもの知らずで、歯に衣着せず突っ込んだことが書けた」(あとがき)と語るように、他の仏教書では取り上げられにくい点にも本書は焦点を当て、それをもとにした仏教への率直な批判も行っている。仏教の内側にある者は、一論者の挑発的な言説として受け流さず、真摯に応える必要があるだろう。
評者:日野 慧運(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2011年12月12日