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仏の発見
本の紹介
  • 五木 寛之 (いつき ひろゆき)
  • 梅原 猛 (うめはら たけし)
  • 出版社・取扱者 : 平凡社
  • 発行年月 : 2011年2月25日
  • 本体価格 : 本体1,400円+税

希代の越境者の声−口上(五木 寛之)
第一話 人が仏になる不思議
第二話 この世で仏と出会う不思議
第三話 怨霊に仏を見る不思議
第四話 文学にひそむ仏の不思議
第五話 山川草木に宿る仏の不思議
第六話 人生の苦の中にある仏の不思議
第七話 悪をこえて仏になる不思議
闇を克服して生きる作家−後口上(梅原 猛)

本書は、小説家・五木寛之氏と哲学者・梅原猛氏の対談書。五木寛之氏が各界の著名人と特定のテーマについて対談した「発見シリーズ」の一冊である。

五木氏の『親鸞』(講談社)、梅原氏の『法然の哀しみ』(小学館)など、両氏は仏教に関する諸著作でも良く知られており、本書においても仏教に関する様々な知見が自由闊達に語られている。時には大胆とも思われるような説が一方から提示され、相手から反論や疑問が呈される場面もあるが、長年にわたって多くの読者を魅了し続けている両氏だけあって、その議論は、スリリングで機知に富んだものとなっている。

なお、本書のタイトルは『仏の発見』であるが、語られている内容は、仏教に限られることなく、それぞれの生い立ちから現在の仕事まで多岐に渡っている。両氏のファンにとっては既になじみ深い内容も少なからず含まれていると思われるが、両氏と縁の深い「仏」教の観点から見たとき、それぞれに関する新たな「発見」もあるだろう。


評者:江田 昭道(教学伝道研究センター研究員)


掲載日:2012年01月10日