- 出版社・取扱者 : 新潮社(新潮新書)
- 発行年月 : 2011年5月20日
- 本体価格 : 本体680円+税
目 次 |
まえがき 第一章 仏像少年 第二章 青春という名の「荒行」 第三章 諸行無常と諸法無我 第四章 地獄ブームと後ろメタファー 第五章 ご機嫌な「菩薩行」 第六章 いつも心に「マイ仏教」を! グレイト余生。−あとがきに代えて |
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著者のみうらじゅん氏は、かねてより仏像好き、仏教好きを公言し、『見仏記』シリーズ(角川書店)、『アウトドア般若心経』(幻冬舎)など仏教関連書を多数発表、また「国宝 阿修羅展」の後援会長を務めるなど、各方面にて活躍している。
本書は、著者が初めてその仏教観をまとめた一冊である。仏像との出会いから現在の仏教観までが自伝的に語られ、サブカルチャー界のあらゆる方面にわたる著者の活動が、仏教という横糸で繋がっているあたり興味深い。笑いを誘うエッセイだが、「仏教にパワーがなくなったことと、地獄の存在感が弱まったということがつながっているような気がする」(100~101ページ)、「『弱さ』や『おもしろい』を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。その上でそれをどう制御していくか、そのことを考えるのが宗教だと私は思います」(131ページ)など、「仏教への恩返し」としつつ鋭い提言もある。仏教への新しい視点として一読を勧めたい。
評者:日野 慧運(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2011年9月12日