- 出版社・取扱者 : 春秋社
- 発行年月 : 2011年4月20日
- 本体価格 : 本体1,300円+税
目 次 |
序(関 法善) 第一章 限りなき慈悲 第二章 内なる自己のさとり 第三章 絶対の信 第四章 ありのまま 第五章 妙好人 訳註 解説−大拙先生の真宗観(佐藤 平) |
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本書は、鈴木大拙が1958年にニューヨークのアメリカン・ブディスト・アカデミーで5回に亘って行った、浄土真宗をテーマとした講演の和訳である。なお、本書は1983年に出された『真宗入門』を再版したものである。
著者は禅の世界的権威であるが、多くの著作や講演で浄土真宗に言及するなど、浄土真宗に多大な関心を寄せていた。それは、著者の思想の根本は「宗教経験そのものの表現」(142ページ)であり、著者には親鸞聖人が「学問や儀式主義のような媒介のまったく要らない(中略)宗教経験への最も直接的な道を発見した」(5ページ)との受け止めがあったからであろう。
そのため本書は浄土真宗における宗教経験に重きをおいて語っており、とりわけ妙好人(宗教経験によって阿弥陀如来のはたらき、他力を体得した門徒)を頻繁に取り上げている。因みに著者は妙好人を最初に取り上げた知識人でもある。禅の感性をもとに、生き生きと浄土真宗の教えを説き明かした興味深い一冊である。
評者:網代 豊和(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2011年8月10日