- 出版社・取扱者 : 佼成出版社
- 発行年月 : 2010年5月30日
- 本体価格 : 本体4,000円+税
目 次 |
序(松尾 剛次) 第1章 顕密仏教の展開(蓑輪 顕量) 第2章 新仏教の形成(前川 健一) 第3章 仏教者の社会活動(松尾 剛次) 第4章 儀礼と神話(伊藤 聡) 第5章 室町文化と仏教(原田 正俊) 第6章 一揆と仏教(神田 千里) 特論 変貌する日本仏教観(佐藤 弘夫) 年表 参考文献 索引 執筆者紹介 |
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本書は『新アジア仏教史』シリーズ(全15巻)の日本編第2巻で、中世仏教史(およそ11~16世紀)を扱う。
従来、日本の仏教史を扱った書籍では、中世は浄土真宗など浄土教諸宗や禅宗、日蓮宗といったいわゆる「鎌倉新仏教」を中心として、一種の宗教改革の時代として論じられることが多かった。しかし研究が進んだ結果、近年はいわゆる「旧仏教」や神道の動向が見なおされ、中世の宗教世界の豊かな様相が知られるようになると同時に、もはや「鎌倉新仏教」中心の視座からは中世仏教を見渡しきれなくなっている。本書は、そうした中世史研究の最新の成果を取り入れつつも、「仏教」に視座を据えて論じた論考を収める。「特論」は、我々の中世仏教像がいかにして作り上げられ、変遷したか、そしていかに新しい仏教像を構築するかを提言して刺激的である。本書は、「鎌倉新仏教」の祖師たちの事績について詳述するものではないが、その祖師たちが生きた、中世の日本仏教の世界に対する、広い視野をもたらしてくれている。
評者:日野 慧運(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2010年10月12日