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聖武天皇と仏都平城京
本の紹介
  • 吉川 真司 (よしかわ しんじ)
  • 出版社・取扱者 : 講談社
  • 発行年月 : 2011年1月11日
  • 本体価格 : 本体2,600円+税

序章 天皇の都・仏の都
第一章 飛鳥から平城へ
第二章 平城宮の儀礼と政務
第三章 聖武天皇
第四章 行基と知識と天皇
第五章 四字年号時代
第六章 桓武天皇
第七章 平安京の王権
第八章 仏都の命脈
参考文献
年表
歴代天皇表
天皇系図
索引

著者は京都大学文学研究科教授(日本古代史)。本書は講談社創業100周年記念企画「天皇の歴史」シリーズ(全10巻)の第2巻であり、聖武天皇の時代を中心に、日本仏教の中心地としての平城京の機能を解き明かしている。

奈良時代、聖武天皇は疫病の大流行を境に仏教信仰を深めていき、国家復興のために諸国に国分寺と国分尼寺を建立した。東大寺は国分寺としてだけでなく大仏が鎮座する寺院という二重の機能を付与され、平城京に建立された。その建立には光明皇后の意向も影響したと言われ、仏教への帰依は子の孝謙(称徳)天皇にも受け継がれていく。後に行われた平安遷都の目的の一つとして従来、仏教勢力の排除が挙げられてきた。しかし著者はそれに異議を唱え、大寺院の移転に伴う出費や混乱を避けようとしたのが理由だと指摘し、国のための法会を行うなどの平城京の寺院の役割は平安遷都後も維持されたと言う。

本書は今一度日本古代史を学べるということだけでなく、最新の研究成果を一般に還元する役目も果たしている。


評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2011年4月20日