- 出版社・取扱者 : 講談社
- 発行年月 : 2008年12月10日
- 本体価格 : 本体1,500円+税
目 次 |
はじめに 第一章 シンクレティック東アジア 第二章 かばいあう親子のどろぼう 第三章 翼をなくした天女たち(上) 第四章 翼をなくした天女たち(下) 第五章 福禄寿、怨恨、呪殺 第六章 草も木もみな仏になる 第七章 スモモの下で世直しがはじまる 第八章 彼らに永遠の休息をあたえたまえ 第九章 東アジアの思想空間へ おわりに 索引 |
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本書は、比較宗教史を専門とする著者が、儒教・仏教・道教が「ごたまぜ」になっている東アジアの思想空間を俯瞰するものである。
著者は「東アジアの思想空間はシンクレティズムの花園なり」(はじめに)と言う。シンクレティズムとは「融合、混成、ごたまぜ」を意味する英語であるが、宗教に関して用いられる場合、一般的にあまり良いニュアンスの言葉ではない。しかし著者は「どんな宗教もみずからの純粋を主張する。しかし現実には、他からなんの影響もこうむっていない宗教などはたしてあるのだろうか。(中略)シンクレティズムこそ宗教の現実の姿ではないか」(9ページ)と言い、シンクレティズムを積極的に評価する。
本書はこのような視点から、死生観、自然観などを軸に儒教・仏教・道教を論じる。本書を通して、盂蘭盆(うらぼん)などの仏事の由来について、新しい見方をすることが出来るようになるであろう。また、「東アジアの思想とは、宗教とは」という問いにも目を向けさせられる。
評者:爪田 一壽(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2009年2月10日