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壊れても仏像 文化財修復のはなし
本の紹介
  • 飯泉 太子宗 (いいずみ としたか)
  • 出版社・取扱者 : 白水社
  • 発行年月 : 2009年6月10日
  • 本体価格 : 本体1,700円+税

おさえておきたい仏像の基本
仏像だってこわれる
仏像のお医者さん
文化財としての仏像
あとがき

著者の飯泉太子宗氏は財団法人美術院国宝修理所勤務等を経て、現在は自らが設立したNPO法人「古仏修復工房」で、仏像文化財修復作業に従事している。

本書では、仏像の基礎的知識、仏像が壊れる原因(鼠や虫、湿気、乾燥など)、及び仏像を修復するための様々な工夫が述べられている。また、著者がこれまで関わった事例を交えながら、写真やイラストを用いて視覚的に解説されているため、仏像に馴染みがない者にも非常に理解しやすいものになっている。

本書によって痛感させられるのは、仏像、とりわけ木製の仏像は、放っておくと簡単に壊れてしまうものであるということである。そうした仏像をきちんと残していくためには、仏像を大切に想う「人の想いの連鎖がつながっていくかどうかにかかっている」(77ページ)として、「願わくば、多くの仏像、あるいは文化遺産が想いの連鎖から外れることなく、末永く残っていってほしい」(同前)との想いを、飯泉氏は記している。


評者:鈴木 健太(教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)


掲載日:2009年11月10日