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高僧伝(一)
本の紹介
  • 吉川 忠夫 (よしかわ ただお)
  • 船山 徹 (ふなやま とおる)
  • 出版社・取扱者 : 岩波書店(岩波文庫)
  • 発行年月 : 2009年8月18日
  • 本体価格 : 本体900円+税

凡例
目次
総目録
巻第一 訳経篇上
巻第二 訳経篇中
巻第三 訳経篇下
訳者解説
中国全図/インド西域図
後漢・魏晋南北朝年代略表/五胡十六国興亡表

後漢の時代に仏教は中国に流入し、六朝期に隆盛を迎えていく。この繁栄の時に、梁の慧皎(えこう、497~554)によってまとめられたのが、『高僧伝』(後代のものと区別するため『梁高僧伝』とも呼ばれる)である。『高僧伝』は、題名の通り、漢地で活躍した高僧たちの記録であり、仏教流伝から六朝期に至るまでの中国仏教史を、僧侶の姿を通して私たちに伝えてくれている。

『高僧伝』は、初期中国仏教史に関する第一級の歴史資料であるにもかかわらず、大部なため、また難解で装飾的な漢文のせいもあって、これまで全訳されることがなかった。この度、吉川忠夫(京都大学名誉教授)、船山徹(京都大学准教授)の両氏によって『高僧伝』の全訳(全4巻)が始まった。巧みな現代語訳と懇切な注、巻末に付された必見の「訳者解説」は、中国仏教の歴史を、読者にとって身近なものにしてくれることだろう。第1巻である本書は、仏典翻訳に活躍した僧侶たちの伝記「訳経篇」にあたる。


評者:藤丸 智雄(教学伝道研究センター常任研究員)


掲載日:2009年11月10日