- 出版社・取扱者 : 岩波書店(岩波新書)
- 発行年月 : 2010年4月20日
- 本体価格 : 本体760円+税
目 次 |
序−遙かなる地平の呼び声 第一章 不東の旅立ち 第二章 異文化の香り高い西域 第三章 シルクロードの十字路ソグディアナ 第四章 古代バクトリアゆかりの国ぐに 第五章 仏教文化の聖地 第六章 果てしなき道 結び あとがき 参考文献 索引 |
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著者は1964年に名古屋大学アフガニスタン学術調査団の一員としてバーミヤンを訪れて以来、長年にわたり中央アジアなどでのフィールドワークに携わってきた。現在は和光大学名誉教授であり、アフガニスタン文化研究所所長。アフガニスタンの文化研究を進めるかたわら、ユネスコによるバーミヤン遺跡の保存・修復の事業にも参加している。
本書は、玄奘三蔵のインドへの求法の旅路を、ガンダーラまで辿ったものである。玄奘の言葉にもとづき、さらにフランスのアフガニスタン考古学の生みの親、アルフレッド・フーシェなど、多くの研究者や探検家の成果を踏まえた著者の語り口は、読者の想像をかき立てる。
西域・中央アジアには多くの仏教遺跡が残されているが、謎も多い。とくに玄奘の記したバーミヤンの大涅槃像は、長さ300メートルにも及ぶ巨仏でありながら、いまだその位置すら確定できていない。本書は、そのような歴史のロマンを感じさせてくれる一冊である。
評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2010年6月10日