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空の実践
本の紹介
  • 立川 武蔵 (たちかわ むさし)
  • 出版社・取扱者 : 講談社(講談社選書メチエ)
  • 発行年月 : 2007年8月10日
  • 本体価格 : 本体1,500円+税

はじめに
第1章 空の実践
第2章 空と縁起
第3章 空性と自性
第4章 行く人は行くか
第5章 言葉を超える
第6章 『般若心経』における空
第7章 空の実践と真言
第8章 空の実践と三身仏
第9章 実践の行程
第10章 よみがえる世界
第11章 空の実践の二方向

本書は、著者が愛知学院大学大学院で用いた講義ノートに基づいており、「ブッディスト・セオロジー」(仏教神学)シリーズの第四巻として刊行されたものである。本シリーズでは仏教における「聖なるもの」が探求され、本書においては、空思想から人がいかにして行動の指針を得るのかということがテーマになっている。

まず、第1章から第5章は、主に『中論』によって空思想の基本構造を解説している。続いて、第6章と第7章では、「色即是空、空即是色」というフレーズで知られる『般若心経』の内容を検証している。最後に、第8章から第11章では、密教および浄土教の実践に見られる空思想の構造を明らかにしている。なお、第11章では、「聖なるもの」を探究する「ブッディスト・セオロジー」という営みが、宗教間対話において、仏教の立場の表明の基盤になる一方、仏教内の異なる伝統においても、共通の構造を明らかにすることが説かれている。


評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2008年4月25日