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空海「三教指帰」
本の紹介
  • 加藤 純隆 (かとう じゅんりゅう)
  • 加藤 精一 (かとう せいいち)
  • 出版社・取扱者 : 角川学芸出版(角川ソフィア文庫)
  • 発行年月 : 2007年9月25日
  • 本体価格 : 本体666円+税

三教指帰
  序章  この書物を書いた理由
  第1章 亀毛先生の主張
  第2章 虚亡隠士の主張
  第3章 仮名乞児の主張
原文 訓み下し
弘法大師空海略伝

『三教指帰(さんごうしいき)』は、空海の青年時代の著作。日本最古の戯曲といわれる。儒教・道教・仏教の要点を要領よくまとめた上で、仏教が最もすぐれていることを主張する。

まず、兎角公(とかくこう)が甥・蛭牙公子(しつがこうし)の放埒な生活を戒めるよう、亀毛(きもう)先生に頼んだ。亀毛先生が儒教を説くと、蛭牙公子は改心した。すると、それを聞いていた虚亡隠士(きょぶいんじ)が儒教を批判し、道教を説き始めた。そこへ通りがかった仮名乞児(かめいこつじ)が亀毛先生と虚亡隠士に仏教を説くと、2人とも仏教にすっかり感服した。最後に、仏教を讃える詩でしめくくっている。

訳者の加藤精一氏は、「父の労作(加藤純隆氏の口語訳)を下敷きにして思い切って意訳し、原文に忠実な口語訳にくらべて、先ず一読して意味を理解できるようにつとめた」(「あとがき」)という。本書は『三教指帰』の平易な訳であり、原文の訓読、空海の略伝も掲載している。


評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2008年4月25日