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宗教で読み解く日本史
書評
  • 浮世 博史 (うきよ ひろし)
  • 出版社・取扱者 : すばる舎
  • 発行年月 : 2019年12月21日
  • 本体価格 : 本体1,800円+税

はじめに 歴史の重なりを《横から》見てみると
1 縄文時代から古墳時代《信仰のこころが芽生えた時代》
2 飛鳥時代《新たな外来宗教と向き合った時代》
3 奈良時代《国をあげて神仏の並存が模索された時代》
4 平安時代《とても平安などとはいえなかった時代》
5 鎌倉時代《現代人が最も振り返るべき時代?》
6 室町時代《信仰が生活に一体となっていた時代》
7 安土・桃山時代《日本の文化が神仏から解き放たれた時代》
8 江戸時代《宗教が権力に干渉された時代》
9 明治・大正・昭和時代《宗教と権力の関係が大きく揺らいだ時代》
終章 そして「なんでもあり」へ-寛容と受容の日本文化

著者は進学塾で中学受験・高校受験の指導に当たり、現在は中学校・高校の社会科教諭を務めている。著者は「はじめに」で、2015年の東京大学入学試験(日本史)で、仏教伝来に伴う在来の神々への信仰の変化が問われたと紹介し、歴史教育において宗教は軽視されるべきではないと言う。その上で、「歴史上に多くのできごとの背景には、そのときどきの人々がなにを信じていたか、すなわち〈宗教〉のあり方や〈信仰〉の心」が影響していると記す。

本書は、古代から近代に至るまで日本の歴史を語り、宗教が人々の行動に影響してきたことを明らかにしている。一例を挙げると、平安末期、源氏が武士団をまとめることができたのは、その資質や血筋だけでなく、武門の神である八幡大菩薩が源氏の氏神であることによると指摘する。平氏は熊野詣を繰り返すなど、信仰のあり方が武士よりも貴族に近く、そのために武士団を束ねる力が源氏より弱かったと述べている。

心が行動を作るのであり、行動の源である精神文化は、宗教や信仰によって培われる。つまり、宗教や信仰のあり方を知ることは、人々の行動の原動力を知ることになる。本書の帯(裏表紙)に書かれた「宗教をキーワードにすることで、日本史はぐっと深く面白くなる」は、それを端的に表していると言えよう。


評者:多田 修(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)


掲載日:2020年3月19日