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もっと知りたい 東大寺の歴史
本の紹介
  • 筒井 寛昭 (つつい かんしょう)
  • 梶谷 亮治 (かじたに りょうじ)
  • 坂東 俊彦 (ばんどう としひこ)
  • 出版社・取扱者 : 東京美術
  • 発行年月 : 2010年10月20日
  • 本体価格 : 本体1,800円+税

はじめに
東大寺とその周辺
プロローグ 東大寺前史
第1章 大仏開眼
第2章 八宗兼学の学問の寺・南都焼き討ち
第3章 大仏殿炎上と復興
エピローグ
東大寺略年表
参考文献
東大寺所蔵文化財関連索引

本書は東大寺の歴史を、前身となる寺院(金鐘山房)の建立から現代に至るまで、古文書や図版などの豊富な資料をもとに解説した一冊である。内容は緻密であるが、社会科の資料集を見ているよう、気軽に読み進めることができるところに特長がある。

東大寺が聖武天皇により建立されたことはよく知られているが、その法灯が継承されてきた背景に、どのような困難があったのかはあまり知られていない。その歴史は罹災と復興の繰返しであり、現在の大仏殿は3代目にあたる。2代目・3代目の復興の際、鎌倉時代の重源や江戸時代の公慶は、各地の民衆から寄付を募った。これは、わずかであっても広く民衆の協力を得るという聖武天皇の創建の理念を受け継いだものである。また、明治の廃仏毀釈や戦中戦後の困難においても、経済的に危機的な状況のなか、境内を守る努力が続けられてきた。

華厳宗大本山としての華やかな印象とは裏腹に、幾多の艱難辛苦を乗り越えてきた東大寺の歴史が、今明らかとなる。


評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2011年1月11日