- 出版社・取扱者 : 春秋社
- 発行年月 : 2011年5月20日
- 本体価格 : 本体2,200円+税
目 次 |
はしがき 第一章 唯識思想とは何か−玄奘三蔵と『仏地経』をめぐって 第二章 『仏地経』を読む-さとりの智慧の世界を知る 第三章 唯識思想を深く学ぶ−『仏地経』に説かれる「五法」思想の展開 |
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本書は、『仏地経』という経典に焦点を当てて、唯識思想(すべては心の現れであるという思想)を解説した一冊である。
本書は「興福寺仏教文化講座」での講話や雑誌『興福』に掲載された原稿、専門誌に掲載した論文がもとになっている。第一章は唯識思想や中国仏教の入門編と言える内容である。第二章は『仏地経』の原文(漢文)の解読であるが、始めに漢文を読む上での心得が述べられており、仏教を原典(漢文)から学びたい人にとって大いに参考になる。第三章は『仏地経』に関する著者の論文の再掲である。このように、本書は入門的な内容に始まって専門的な領域に及んでいる。
『仏地経』は「仏陀のさとりの智慧の世界」を説いている。こう言うと私たちに縁遠いものと思われるかもしれないが、著者は「仏陀のさとりの智慧の世界は私たちに関係のない世界ではなく、裏を返せば、私たちに正しいものの見方、正しい行動の仕方を教えている」(はしがき)とのメッセージを記している。
評者:多田 修(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2011年9月12日