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お寺の掲示板
書評
  • 江田 智昭 (えだ ともあき)
  • 出版社・取扱者 : 新潮社
  • 発行年月 : 2019年9月25日
  • 本体価格 : 本体1,000円+税

はじめに
一 深い!
二 うまい!
三 あの人の、あの言葉
おわりに

お寺の門前で掲示板を見たことのある人は、多いのではないだろうか。そこには、「ありがたい」と思わせる言葉もあれば、読んだ人をドキリとさせる言葉、ユーモアを感じさせる言葉もある。そんな、お寺の掲示板の言葉を集めたのが、本書である。

掲示板の言葉は、仏典の言葉をそのまま掲げただけではない。たとえば、釈尊(ブッダ)の言葉「生まれた者が死なないということはあり得ない」(『サンユッタ・ニカーヤ』)を「お前も死ぬぞ」と、平易な表現に開いたものがある。あるいは、仏の救いに限りがないことを「ほとけさまに圏外なし」と、仏教の教えを現代風に表現した言葉がある。そうかと思えば、有名人の発した、仏教を感じられる言葉(明石家さんま氏の「生きてるだけで丸儲け」など)がある。

著者は「近年「お寺離れ」という言葉をよく耳にします(中略)が、お寺の前を通る人の数は昔とそれほど変わらないのではないでしょうか。」(44ページ)との考えから、お寺の掲示板の注目した。「満員電車の中で仏教を全く知らないサラリーマンがスマホで仏教に触れる」(95ページ)というコンセプトで書かれてあり、どの言葉も仏教の教えを端的に感じられる。お寺の掲示板を読んだら、お寺に参拝して、僧侶の話を聞くことをお勧めしたい。そうすれば、掲示板では伝えきれない、より深い教えを味わうことができる。


評者:多田 修(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)


掲載日:2019年11月11日