- 出版社・取扱者 : 平凡社(平凡社新書)
- 発行年月 : 2009年11月13日
- 本体価格 : 本体740円+税
目 次 |
はじめに-東京タワーから見た江戸 第一章 江戸で急成長していくお寺 第二章 大奥との深い関係 第三章 お寺の“助成獲得”大作戦 第四章 エンタメ文化の発信地 第五章 講の人々が支える寺院 対談 お寺よ、もっと開かれろ! あとがき |
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本書はウェブサイト「彼岸寺」に連載の「江戸のお寺 浮世草子」から生まれた。
まず、江戸時代の文化12年(1815)年の記録によれば全国で95万ヶ寺以上の寺院があった(現在は7万強)と言い、そして江戸の町には100人前後の僧侶が生活する寺が珍しくなかったという繁栄ぶりを紹介。その上で、江戸の寺院が参詣者を集めるため、御開帳で様々なイベントを行い、富札(現在の宝くじに相当)を発行し、境内に芝居小屋や寄席を設けていたことなどを取り上げ、江戸の寺院は「エンタメ空間としての顔も持っていた」と述べる。さらに、寺院を支えたものとして「講」に注目する。当時の講は、いわゆる檀家と異なり、入退会自由な「一種のファンクラブ」で、複数の講に入る人も珍しくなかったのではないかと記す。
巻末の対談で松本圭介氏(本願寺派僧侶)が、お寺を盛り上げる「ヒントが『講』のアイディアに含まれて」いると話すように、本書は寺院のあり方を考える手がかりを与えてくれる。
評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2010年1月12日