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季刊せいてん no.121 2017 冬の号
  • 著者: 浄土真宗本願寺派総合研究所編
  • 刊行年月: 2017/12
  • サイズ: B5判
  • ページ数: 66ページ
  • 価格: 本体649円+税
  • 出版社・取扱者: 本願寺出版社






●特集 自死と念仏者
  「親鸞聖人の教えから自死を考える」武田慶之
  「仏教と自死―インド・中国・日本の仏典から」野呂 靖
  「孤独に冷え切った心を温めるために―「気持ち」を受けとる」竹本了悟
  「「死にたい」に込められている思い―被災地での居室訪問活動から」安部智海

いまこの時にも、自ら命を絶とうとしている人がいます。自死が、周囲に強い衝撃や深い悲しみをもたらすものであることは否定できません。それゆえか、人は自死について、感情的な、そして断定的な評価を下すことがあります。しかし、そのような評価によって、悲しみ・苦しみをさらに深めてしまう人がいることも事実です。
そうした感情的な評価の仕方をいったん置いて、親鸞聖人のお言葉やその他の仏典に基づいて、念仏者として自死をどう考えるのか、確かめてみましょう。併せて、自死の苦しみに対してどのような支援のかたちがあるのか、その具体例をうかがってみたいと思います。(協力:京都自死・自殺相談センターSotto、ひろしまSotto、とうほくSotto)



●はじめの一歩1 真宗〈悪人〉伝10 井上見淳
  「顕如と教如」(中)

教団史上「悪者」とされてきた人物たちの人生を通して、ちょっと違う角度から真宗の歴史と教えを学ぶシリーズ。尾張で頭角を現し始めた大名・織田信長。彼はあらゆるものを自らの中で相対化して、「意味がない」と判断すれば旧習にとらわれず、変革してゆきました。それは古来、日本仏教最大の聖地であった比叡山や、新興の巨大勢力本願寺といった宗教的権威に対しても同じことでした。本願寺宗主である顕如上人は、この怪物を相手に「本願寺」と「念仏の教え」、なにより門徒を護るため、きわめて重く、大きな決断を下します。巨大勢力本願寺と織田信長。この対立軸をさし挟んで、戦国時代に登場する個性豊かな人物たちが躍動します。「正しい決断」とは何なのか。本願寺と織田信長の戦い、第二弾です。



●はじめの一歩2 幸せってなんだろう―悪人正機の倫理学― 4 藤丸智雄
  「嘘は悪なのか?―自己愛から考える」

「悪人正機」という特殊性を持つ浄土真宗という宗教を中心に据えながら、古今東西の宗教や倫理学の知見を通じて、「幸せ」について考える連載。「嘘」をつくかつかないかということは、私たちにとって最も身近な倫理的問題のひとつです。身近な分だけ、私たちは嘘をつくということを軽く考えてしまいがちかもしれません。しかし、そのような妥協をせず、嘘という行為を絶対的に否定したのが、哲学者カントでした。その立場と、「嘘も方便」という言葉が語られることもある仏教との間には、どのような接点が見出せるのでしょうか。「カント先生ファン」かつ「お釈迦さまファン」を自認する筆者が熱く語ります。



●聖典セミナー 『歎異抄』(終) 矢田了章
  「後序―たまはりたる信心」

『歎異抄』研究をライフワークとされている矢田了章先生による『歎異抄』講座。最終回です。『歎異抄』の終わりに置かれている後序には、ここまでの条々に出てきたものと同じぐらい、あるいはそれ以上によく知られているといっても過言ではない、親鸞聖人の大切なお言葉が次々と登場します。それらを通して唯円が伝えようとしているのは、まさしく『歎異抄』という書物そのもののこころでした。これまでの内容もふり返りながら、後序のお言葉を聞かせていただきましょう。



●せいてん誌上講演 「正信偈」20 梯 實圓
  「善導大師(3) 仏様に認められて生きる」

故・梯實圓和上による「正信偈」の講演録。七高僧のお一人、中国の善導大師の段を四回に分けてお送りしている、三回目です。善導大師が示された、阿弥陀仏の光明と名号による救い。そこから開かれる信心の念仏者の生き方とはどのようなものなのでしょうか。梯先生は、私が仏様とどのように関わって生きるようになるのかという視点に立って、そのことを具体的に説明してゆかれます。



●もう1人の「親鸞」4 黒田義道
  「玉日姫と恵信尼さま」

「宗祖」として様々に描かれてきた親鸞聖人に関する伝説的物語をクローズアップして、その物語を語り継いだ人々の心をうかがう真宗史入門。親鸞聖人に恵信尼さまという妻がおられたこと自体は、すでに明らかな史実となっています。その一方で、古くから語り継がれているのが玉日姫の伝承です。この伝承の成立は、なんと覚如上人が著された『御伝鈔』よりもさらに遡ると考えられています。そしてそこには、またしても(!)「行者宿報の偈」が登場しています。この偈文と恵信尼さまに対する初期真宗門徒のイメージを、読み解いてみましょう。



●おてらカメラ―ちょっとの工夫でこの違い 2 中西康雄
  「お寺のよい〈表情〉を見つけよう」

お寺を撮影するコツを学ぶコーナーの2回目です。今回から、「スマホできれいな写真を撮りたい」という京都女子大学の山本さんに、中西カメラマンのアドバイスを受けながらお寺の写真を撮影してもらうことになりました。皆さま、山本さんと一緒に、「おてらカメラ」の上達をめざしましょう!



●法語随想 悲しみとともに (終) 溪 宏道
  「慈眼をもつて衆生を視そなはすこと、平等にして一子のごとし。……」

溪先生は、お子さんを亡くされた方を前にし、慰めの言葉もかけることのできない自分にやるせなさを感じながら、阿弥陀さまのお慈悲を聞いてほしい、と言われています。阿弥陀さまのお慈悲に出遇うと、私たちの悲しみはどうなるのでしょうか。溪先生のご法話の最終回です。



●読者のページ せいてん質問箱 2 大原実代子
  「報恩講で出される食事はなぜ〈お斎〉と言うの?」

仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。今回は、報恩講シーズンにぴったりの、「お斎」についてのご質問にお答えいただきました。「お斎」の由来と歴史を知ると、いつもより深くお斎を味わえるかもしれませんよ。



●人ひとみな いろ、といろ (終) とよだまりさ
  「はじまりの色」

NHK連続テレビ小説ドラマ『純と愛』『てっぱん』で絵画指導を行うなど多方面で活躍中の、とよだまりささんのエッセイ。今号で最終回となりますが、タイトルは「はじまりの色」。何かに迷っている人、何かに悩んでいる人への、とよださんのメッセージが込められています。



●お寺はいま ワカゾー×龍谷大学大学院実践真宗学研究科
  「お寺でDeathカフェ」

ユニークで工夫をこらした活動を行うお寺を紹介する取材記事。寺院活動のヒントがつまっています。今回は、カフェでお茶を飲むような気軽さで、生と死にまつわる対話を行う「Death(デス)カフェ」を取材しました。若手僧侶グループ「ワカゾー」と龍谷大学大学院生の新たな試みを、どうぞご一読ください!



●西の空 心に響くことば
  「冬」(榎本栄一)

心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。素朴な言葉で人生のまことをうたった「市井の仏教詩人」榎本栄一さんの詩をお届けしています。人生の厳しさや試練が、人を大きく優しくする。今回の「冬」という詩からはそんなことを思いました。冬の寒さによって甘くなる野菜の写真とともに味わってください。