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季刊せいてん no.116 2016 秋の号
  • 著者: 浄土真宗本願寺派総合研究所編
  • 刊行年月: 2016/9
  • サイズ: B5判
  • ページ数: 66ページ
  • 価格: 本体637円+税
  • 出版社・取扱者: 本願寺出版社






●特集 伝統とその由来 編集室
  「本願寺の紋」
    下り藤紋
    鶴丸紋・桐紋
    菊花紋
  「親鸞聖人示寂の年の表記」
  「礼讃文―三帰依文―」
  「もうひとつの〈礼讃文〉」
  「ご本尊の光明が四十八本の理由」
  「〈正信偈和讃〉のお勤めが身近になる話」
  「ナモアミダブツ?」

本願寺では来る10月より、第25代専如門主の伝灯奉告法要が勤修されます。時代によって変わることのないみ教え「法灯」を伝え受け継ぐ。それが「伝灯」です。一方で、本願寺では時代の節目節目において新たなことを取り入れてきました。現在私たちが「伝統」と受けとめていることにも、そうしたものは多くあります。新たな時代をお迎えするにあたって、伝統の由来を振り返ってみましょう。


●はじめの一歩Ⅰ 真宗〈悪人〉伝⑤ 井上見淳
  「慈信房善鸞(上)」

教団史上「悪者」とされてきた人物たちの人生を通して、ちょっと違う角度から真宗の歴史と教えを学ぶシリーズ。今号と次号の2号連続で、親鸞聖人の子息、慈信房善鸞を取り上げます。親鸞聖人の晩年に暗い影を落とすこととなった善鸞義絶事件。善鸞はなぜ、父である聖人を裏切ることになったのでしょうか。その鍵を、父子で過ごした京都での日々までさかのぼって探っていきます。


●はじめの一歩Ⅱ 「物語」で読み解く仏教⑪ 野呂 靖
  「一生不犯 その一」

説話集を通して学ぶ、新しい仏教入門。出家した僧侶というのはどこまでもストイックであるべきもの、まして性欲などあってはならない―というのが一般的な仏教のイメージかと思います。しかし、そう簡単にはいきません。欲望を離れなければならない仏教だからこそ、生物的な欲望でもある性欲の問題は、日本はもちろんインドでも、出家者たちを大いに悩ませてきたのです。2回シリーズの第1回目は、そんな出家者たちの姿をうかがってみましょう。


●聖典セミナー 歎異抄⑦ 矢田了章
  「第六条─弟子一人ももたず」

『歎異抄』研究をライフワークとされている矢田了章先生による『歎異抄』講座。今回の第六条でひときわ印象に残るのが、「親鸞は弟子一人ももたず候ふ(この親鸞は、一人の弟子も持っていません)」というお言葉です。実際にはたくさんのお弟子がおられた聖人が、「弟子は一人もいない」と言われたのはなぜなのでしょうか。『歎異抄』に示された親鸞聖人のお姿から、念仏者の現実社会における生き方を学びます。


●せいてん誌上講演 正信偈⑮ 梯 實圓
  「曇鸞大師(2) 他力のこころ」

故・梯實圓和上による「正信偈」の講演録。「他力」は、浄土真宗の象徴ともいえる言葉です。この「他力」の「他」とは、誰のことだと思われますか?阿弥陀仏?それとも、私?今回は、「報土因果顕誓願 往還回向由他力」の句を中心に、曇鸞大師の深い思し召しを見抜かれた親鸞聖人の前人未到の解釈に迫ります。


●和讃で学ぶ浄土真宗⑦ 佐々木隆晃
  「念仏者の利益」

「和語の『教行信証』」と呼ばれる和讃を通して、8回で浄土真宗をまるごと学んでしまおうという、すこし欲張りな「浄土真宗入門」です。今回のテーマは、阿弥陀仏の慈悲に抱かれて生きる「念仏者の利益」です。


●ジョード・シンシュー・アイスブレイク⑤ タカシ・ミヤジ
  「“盆”in the USA」

アメリカ出身のミヤジ先生が、現地で実際に使われている浄土真宗の言葉をフレンドリーに紹介するコラム。この夏、皆さんはどのように過ごされたでしょうか。夏といえばお盆ですが、アメリカのお寺でも、夏になるとお盆の行事が開かれます。オープンでにぎやかなその集いには、苦難の歴史を力を合わせて乗り越えてきた、日系人の方々の精神が息づいていました。


●聖典こぼれ話⑤ 長尾隆司
  「同じなのに違う?」

日々、聖典の文字を見つめ続けている総合研究所の聖典編纂担当の面々が、聖典にまつわる興味深くユニークな情報を交代でご紹介していきます。聖典の編纂(編集)作業というと、「よくわからない」「なんだか難しそう」と思われるでしょう。確かに、聖典の編纂にはいろいろな作業行程があり、複雑なことも多いのですが、思い切ってシンプルに表現すると、「親鸞聖人の思し召しを正確に伝えること」といえるように思います。今回はそんな聖典の編纂方針についてのお話です。


●法語随想 悲しみとともに③ 吉村隆真
  「安楽浄土にいたるひと 五濁悪世にかへりては
    釈迦牟尼仏のごとくにて 利益衆生はきはもなし」

全国的に活躍されている布教使の吉村隆真先生のご法話です。先に亡くなられた方がたが、浄土からお戻りになり、仏様として私にはたらきかけている。愛しい人と別れ、悲しみにくれる私たちに寄り添う仏様のお慈悲を、吉村先生ご自身の体験を通してお話しくださいます。


●読者のページ せいてん質問箱③ 能美潤史
  「日本の国語の基礎を作ったのは浄土真宗の僧侶なの?」

仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。担当は龍谷大学専任講師の能美先生です。私たちが古文の授業で学んだ動詞の活用形。苦労はしましたが、それでも覚えることができたのは、それが論理的によく整理されていたからでしょう。実は、それはある一人の浄土真宗僧侶の研究成果によるものでした。その名は義門。日本の国語学に多大な功績を残した彼を動かしたものとは何だったのでしょうか。


●人ひとみな あなたがいてくれるから③ 白鳥ちあき
  「おばあさんの言葉」

瀬戸内海の周防大島で、僧侶、シンガーソングライター、手作りジャム専門店の副店長と、多方面で活躍されている白鳥ちあきさんのエッセイをお届けしています。白鳥さんの、僧侶として初めてのお盆参り。そこで、かけがえのないことに気付かせてくれた、あるおばあさんの言葉を振り返ります。


●お寺はいま 千葉県松戸市・天真寺
  「ボランティアの心がご縁をつなぐ」

ユニークで工夫をこらした活動を行うお寺を紹介する取材記事。寺院活動のヒントがつまっています。今回は、「人と人が出逢い、つながるお寺」天真寺のボランティア活動を取材しました。


●西の空 心に響くことば
  「いちょう」(鈴木章子)

味わい深い言葉を美しい写真とともにお届けする、ほっと一息つくことのできるコーナー。お寺の掲示伝道にもお使いいただくことができます。現在は、『癌告知のあとで』の著者、故・鈴木章子さんのお言葉をご紹介しています。