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第10回「らいはいのうた」 講座の内容
第10回は「らいはいのうた」を中心に学びました。

【座学の内容】

 「らいはいのうた」は、昭和23年(1948)の蓮如上人450回遠忌法要の記念事業として「十二礼」の意訳勤行として制定されたおつとめですので、「十二礼」と「らいはいのうた」は、基本的に同じ内容となります。従って、座学では両者を並行して学びました。
 まず、前回の復習の意味も含めて、「十二礼」全体の構成を再確認しました。
 次に、各句の内容を見ていくにあたり、特に次の三点について詳しく学びました。

(a)「観音頂戴冠中住 種種妙相宝荘厳」について

 ここを書き下し文で読むと「観音頂戴の冠中に住したまふ 種々の妙相、宝をもって荘厳せり」となり、「らいはいのうた」(以下、「意訳」と表記する)では「観音薩埵の冠に やどれる相(すがた)いと妙に」となります。つまり、阿弥陀仏が観音菩薩の冠の中におられるすがたの素晴らしさが讃嘆されているのですが、阿弥陀仏が観音菩薩の冠の中におられるという表現は少し不思議な感じがします。これについては、古来より、観音菩薩が阿弥陀仏に対して謹み敬い、その恩に報いる姿を表しているという説や、観音菩薩のはたらきが究極的には阿弥陀仏のはたらきと同体であることを表すという説等さまざまな説があることを学びました。

(b)「於彼座上如山王」について

 ここを書き下し文で読むと「かの座の上にして山王のごとし」となり、意訳では「その蓮座に山と坐す」となります。この句については、第9回のときの質問で、阿弥陀仏が「坐す」と示されていることと、浄土真宗のご本尊がお立ち姿の阿弥陀さまであることをどのように受けとめればいいのかというものがありました。その質問になぞらえながら、坐像として示される阿弥陀さまは説法のお姿を表しているということや、浄土真宗のご本尊のお立ち姿の阿弥陀さまは、『観無量寿経』の中に示される「住立空中」(じゅうりゅうくうちゅう)といわれるお姿が根拠になっているということを学びました。「住立空中」というのは、韋提希夫人を救うために、空中にお立ち姿の阿弥陀さまが現れたと示されることで、阿弥陀さまの大悲のはたらきそのものを表しているといわれています。

(c)「亦無女人悪道怖」について

 ここを書き下し文で読むと「また、女人と悪道との怖れなし」となり、意訳では「道妨ぐるおそれなく」となります。ここに「女人」が「悪道」と並べられて、浄土にはその怖れがないと表記されていることについて、受けとめ方に注意が必要であることについて話しをしました。過去には、この様な記述を根拠にして、「女性は救われない」ということが言われたこともあったのですが、阿弥陀仏の救いのはたらきは、老若男女、貴賤の違いを超えて、すべての生きとし生けるものに向けられているので、言葉の表面的なところにとらわれて、女性を蔑視するような解釈をすることは大きな間違いであることを学びました。

【実践の内容】

 実践の時間は、「らいはいのうた」の唱読について学びました。
 まず、これまでの復習として、お仏壇のお荘厳は点火・点燭・供香・供飯の順で行うことや、お経本の取り扱いについての説明がありました。
 次に、「われ今幸いに・・・」(『日常勤行聖典』90頁 ※以下のページ表記はすべて『日常勤行聖典』のページ数を表します)の「礼讃文」の練習をしました。
 次に、「意訳勤行の譜について」(142頁)を参照しながら、「らいはいのうた」などの意訳勤行に付されている譜の見方について説明をしていただき、それを踏まえて「らいはいのうた」の、第1句「天人ともに・・・」(91頁)から第46句「たたえまつりて・・・」(102頁)までを実唱しました。ここまでは、前回の「十二礼」のときにも練習をしている節ですので、スムーズにおつとめができていたように思います。
 そして、第47句「はかりなき徳・・・」(102頁)から第48句「わかちて往かん・・・」(102頁)の節について詳しく学び、次いで、念仏・恩徳讃・回向句の練習をしました。
 一通り練習をした後、「らいはいのうた」で注意が必要な箇所について説明をしていただきました。まず、「らいはいのうた」は、言葉と拍の合わせ方で注意が必要な箇所があります。例えば、「み顔うるわし満月よ」(93頁)と「み顔を尊み仰ぐなる」(98頁)の「み顔」という言葉は、前者は「みーかお」と二拍で唱えますが、後者は「みかおを」で二拍となり、同じ「み顔」という言葉でも拍が異なるので注意が必要です。また、「まぼろしの身と・・・」(99頁)という箇所で「の」を二拍で唱えるところを、「の身」で一拍としてしまうことも間違えやすい所です。さらには、「わかちてゆかん」(102頁)の「ん」は「ミーラソラソラソ」という音程で唱えますが、この「ミ」の音を二拍で唱えるべきであるのを、短くしてしまうということも、間違えやすい所です。また、「らいはいのうた」では鼻的破裂音は用いないことも注意点です。
 最後に、「らいはいのうた」全体を通して二回実唱して、実践の時間を終了しました。