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第5回『阿弥陀経』① 講座の内容

【座学の内容】

 今回の座学では『阿弥陀経』全体の概要と、「如是我聞」から「無量諸天大衆倶」(『日常勤行聖典』106頁1行目~107頁4行目)までの内容を学びました。その中でも特に、『阿弥陀経』の特徴である「無問自説」(むもんじせつ)、「一代結経」(いちだいけっきょう)ということ、そして「六事成就」(ろくじじょうじゅ)ということの三点に注目しました。

 

① 『阿弥陀経』の特徴(その1)「無問自説」

   経典には通常、なぜその経が説かれたのか、という理由が序盤に示されます。「浄土三部経」を見てみますと、『無量寿経』では、阿難尊者が釈尊に「釈尊のお姿はどうして今までになく神々しく輝いておられるのですか」と問いかけることで、教えが説かれます。また『観無量寿経』では、韋提希夫人(いだいけぶにん)が釈尊に「阿弥陀如来の浄土に生まれたい」という願いを述べたことに応えて教えが説かれていきます。

   ところが『阿弥陀経』では、誰かに問われることなく、釈尊自らが阿弥陀如来とその浄土について説いていかれます。それは、『阿弥陀経』の内容を説くのに釈尊が問いを待つことができなかった、すなわち『阿弥陀経』は釈尊が説かずにはいられなかった法であることを表しています。このように、釈尊が問いを待たずに自ら説かれた教えであるので、『阿弥陀経』は「無問自説」の経であると呼ばれています。

 

② 『阿弥陀経』の特徴(その2)「一代結経」

   本願寺第三代宗主である覚如上人は、『口伝鈔』というお書物に、

 

    『小阿弥陀経』は、…(中略)…一代の説教、むしろをまきし肝要
                     (『註釈版聖典』901頁)

 

  と、『阿弥陀経』は、釈尊一生涯の教えの肝要が一つに結ばれた経典であると述べておられます。このことから『阿弥陀経』は、釈尊の一代結経と呼び習わされています。

   『阿弥陀経』には、以上のような特徴があることについて話しました。

 

③ 「六事成就」について

  『阿弥陀経』に限らず、経典は、序分(じょぶん)正宗分(しょうしゅぶん)流通分(るずうぶん)の三段に分けて見ることができます。
 序分とはその経典の序説となる部分、正宗分とはその経典の本論となる部分、そして流通文とはその経典の教えが後の人々まで永く伝わるように勧める、いわばまとめの部分です。
今回学ぶ、「如是我聞」より「無量諸天大衆倶」までは、そのなかの序分にあたります。ここには、多くの経典に共通して示される「六事成就」が説かれています。「六事成就」とは、経典の説かれる内容に誤りがないことを証明する六つの要素(信成就・聞成就・時成就・主成就・処成就・衆成就)を指すものです。『阿弥陀経』の経文でいえば、

 

     如是   我聞   一時   仏  在舎衛国祇樹給孤独園 与大比丘衆~

   (信成就)(聞成就)(時成就)(主成就)  (処成就)    (衆成就)

 

  となります。今回はこの中でも、「如是」という言葉が「信成就」を表すということについて学びました。

【実践の内容】

 実践の時間では、まず、これまでの復習として、おつとめの意義、お荘厳の基本、合掌礼拝の仕方、おつとめの具体的な流れ等について再確認しました。
 その後、全員で『阿弥陀経』の冒頭から中切(鏧三声)のところまで(『日常勤行聖典』106頁1行目~111頁4行目)を実唱しました。
 実唱を終え、講師から以下の点についてアドバイスがありました。

  ・お経を読む時の速さは、初めはゆったりと読み、次第にテンポを上げていき、心地よいテンポになったところで一定のペースを保ってお経を読むようにする。

  ・複数人でおつとめをする時、調声人は調声部分を同音が付くまで発声する。

  ・「次第にゆっくり」と記されている箇所は、その部分から突然ゆっくりにするのではなく、それより少し前から、テンポを落としはじめるようにすること。

 最後に、質疑応答の時間を設けて実践の講義は終了しました。