浄土真宗本願寺派総合研究所公開シンポジウムを開催いたします。
東日本大震災から5年が経ったいま、あらためていのちについて考える事を目的とします。
この震災は、多くのいのちを奪い、沢山の人びとの生き方に影響を与えました。振り返ってみれば、これまで、社会に発信されてきた情報と、現地の生の声との間には、差異があり続けてきたように思います。ともに前へとのスローガンに反して、亡くした人を置き去りにしたような罪悪感にかられる人。復興を喜ぶ反面、変化する街並に戸惑う人。いくら月日が経とうとも、いくら建物が再建されようとも、癒えない心は存在し続けているのです。震災を通して、私たちは心の機微(きび)に多く触れる経験をしました。そして、これまで生活のなかで見過ごしてきたような気持ちに、とても敏感になりました。メディアにおいて、「頑張れ」という言葉があまり使われなくなりました。それはこの語に対する「もう頑張れない」「充分やっているのに」といった気持ちが露わになったことの影響といえるでしょう。(※本シンポジウムを通して、この現象の善し悪しも見えてくるでしょう。)ここでは、そうした心の機微(きび)を「ざわめき」と名付けます。
このざわめきは、決して被災地だけのものではありません。私たちのなかにも、言いようのない気持ちがざわめいてはいないでしょうか。自分自身はもちろん、周囲の人たちのざわめきに気付くことは、心を大切にすることにつながります。ざわめきから目を逸らす社会よりも、ざわめきに光をあてるような社会は、より心豊かな、いのちを大切にしようとする社会なのだと思うのです。
いま一度立ち止まって「ざわめき」に光を当ててみませんか?
日 時
2016年3月23日(水曜日)13:00 ~ 16:15(受付開始12:30~)
会 場
各部のテーマ及び発題者
○第1部 自分自身への「ざわめき」を見つめる~自らの救いとしての宗教
・寺戸淳子(宗教学者・専修大学兼任講師)-対人支援に関わる経験から
・鈴木英生(記者・毎日新聞社)-震災を報道してきた経験から
・安部智海(宗教者・総合研究所研究助手)-被災地支援に関わる経験から
○第2部 周囲の人びとへの「ざわめき」を見つめる~他者を救う営みとしての宗教
・鈴木岩弓(宗教学者・東北大学教授)-信仰に触れてきた経験から
・加藤智也(作業療法士・健康科学大学教授、同大学学科長)-対人支援に関わる経験から
・金沢 豊(宗教者・総合研究所研究員)-被災地支援に関わる経験から
○全体
・コメンテーター:磯前順一(宗教学者・国際日本文化研究センター研究部教授)
・コーディネーター:竹本了悟(宗教者・総合研究所研究員)
定 員
150名程度(申込不要、先着順)
受講料
無料
お問い合わせ先
浄土真宗本願寺派総合研究所
〒600-8349 京都府京都市下京区堺町92
TEL 075-371-9244
FAX 075-371-5761