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第4回 公開対談・本願寺茶房「真宗の儀礼を語る―真宗と死者―」

仏教音楽・儀礼研究室では、浄土真宗の儀礼について様々な角度から対談する「本願寺茶房」を開催しています

2013年3月18日 本願寺聞法会館にて開催

【所感】

今回は、蒲池勢至氏をお招きして「真宗と死者」と題して天岸淨圓氏と対談していただきました。対談では、民俗学の立場から研究を続けられながら、住職も務められている蒲池氏の「現場の実感」を中心として、「浄土真宗における死・死者」「葬送儀礼」「教義と儀礼」などの論点について意見が交わされました。特に、一般の人々は亡くなられた方を「往生者」とは見られず、眼の前には「死・死者」があるという蒲池氏と、「死」を「往生」と表現することで、「死」に新たな意義づけがなされると主張される天岸氏との対話は、「葬送儀礼」の成立や浄土真宗における「言葉」の問題にまで展開しています。葬送儀礼の執行者として、どのような「言葉」を用い、発するかは、様々な方々が直面する問題であり、本対談が多くの方々に示唆を与えるのではないかと思います。

また、対談の最後には「教義と儀礼」に関して、安心門・起行門が取り上げられました。天岸氏は、「阿弥陀仏を中心として人生を受けとめる」ことができたことは、そのまま、「阿弥陀仏を礼拝、讃歎する」ことになる、と説明されました。つまり、安心門が成立することは、そのまま、起行門が成立することでもあるというのです。残念ながら、対談ではこの部分を深めることはできませんでしたが、私たちの「お念仏を中心にした生活」が日々の「お勤め」、儀礼を形作っていくのだという指摘であると受け取れるのではないかと考えています。