- 出版社・取扱者 : 幻冬舎(幻冬舎新書)
- 発行年月 : 2011年3月30日
- 本体価格 : 本体740円+税
目 次 |
はじめに 第一章 心の中を探る 第一節 心とはなにか 第二節 「自分」に迷う 第三節 心の深層に沈潜する 第二章 心を変革する 第一節 新しい“自分”に目覚める(自己究明) 第二節 「だいじょうぶ」という世界を目指す(生死解決) 第三節 他を先に、自を後にして生きる(他者救済) おわりに |
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著者は立教大学名誉教授。長年にわたり仏教の唯識思想(すべては心の表れであるという思想)の研究を続け、これまで唯識思想についての書籍を多く著している。
著者は本書で脳科学に疑問を投げかけ、心のすべてを脳に帰することはできず、心の汚れは脳を治療しても改善されるものではないと言う。その上で、心を清らかにするためには、心の構造とはたらきを解明することが必要であり、その成果を体系化したものが唯識思想であると述べる。常識的にはそこに物が存在すると考えるが、唯識思想によるならば、それは自分の心が作り出したものである。だから、心が清らかであれば、目の前に広がる世界も清らかとなるのである。
唯識思想を扱う本と言えば、難しい用語が並ぶ印象を持たれるかもしれない。しかし本書はそのようなイメージに当てはまらず、まるで市民講座に参加しているかのように、気軽に読み進めることができる一冊となっている。
評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2011年7月11日